第128話 発売三日目の笑撃と裏方の戦争
第128話 発売三日目の笑撃と裏方の戦争
エルシア視点
とりあえずあーしの初めての写真集が発売されたけど近くの本屋では軒並み売り切れてたね。
こういうのを見るとちょっと嬉しくなるよね。
もともとあーしは承認欲求が強いほうだからなおさら、かな。
ダーリンの方にも友達から連絡が来てるみたいで、写真集は大絶賛みたいとのことで少しあーしも安心した。
ダーリンは友達のたかしくんに爆発しろ!と言われたと笑いながら教えてくれた。
今回の写真集は全国規模で発売したから売り上げもかなり期待できるとのこと。
Akiraちゃんはあーしたちに少し巻き込まれた感はあるけど、おこぼれにあずかれてホクホクみたい。
ほかのモデル仲間も今度一緒に仕事しようと言ってくれてるし、順風満帆だね。
しかもダーリンとのツーショットが見開きでドーンと載ってたのには驚いたな。
ダーリンがなんで!?ってなってたけど、あの写真を見れば、ねえ。
諦めてあーしとモデルになろうよ(笑)
…まあ、ならないのはわかってるけど。
ん?
Akiraちゃんから電話?
なんだろ…。
「はいもしもし〜」
「シアちゃん!大変なことになった!あの写真集が発売禁止になっちゃった!!」
…は?
別におっぱいも晒してないし、裸もないのに?
なんで?
訳がわかんねーんですけど!?
「どゆこと?写真集の内容、普通だったじゃん」
「私もそう思うよ!だけど審査委員会から指摘が入って発禁になったってさっきグチッターで速報が出てたよ!」
あーしはダーリンのスマホを借りて確認する。
…ほんとだ。
なんで?
もしかしてあーし本人が猥褻物として認定されてるとか!?
「んなわけないじゃん。とりあえず社長から、しばらくおとなしくしとけってあったから私たち、自宅謹慎になるよ」
え〜。
完全にあーし、とばっちりじゃん。
せっかく楽しかった沖縄の思い出に泥をかけてくるなんて…どうしてくれよう。
でも、今回は相手の顔が見えないから仕返しもできないし。
うぇーん、ダーリーン。
どうしよ〜。
社長視点
おいおいおいおい。
冗談じゃねぇぞ。
どこが有害図書だよ。
どこの部分が法に触れてるんだよ!
こちとら全国にもう写真集発送済みなんだぞ!?
やばい。
これは本当にヤバい。
下手したら億単位の損害になるかも…?
勘弁してくれよ。
まだ審査委員会から禁止理由の連絡は来てないから、確定したわけではないが、指定が覆ることもまれだ。
しかもあそこは第三者機関で頭の硬い老害も多い。
それにうちからこのことについての申し入れも嘆願もできない。
写真集の内容は至って普通、いや、出来はものすごくいい物だ。
別にやましいところはどこも写ってないし、引っかかる原因がわからねぇ。
どうすりゃいいんだ?
まさか裁判か!?
審査員相手でも勝てる自信はあるが時間ばかりが過ぎてくぞ!?
発売禁止を認定した男視点
うむ。
これはいかん。
わしの息子がこのモデルに反応しおった。
実に10年ぶりのことじゃ。
息子が反応する、ということはいかがわしいものと判ずるに値する。
で、あればこの写真集は有害図書にすべきということじゃ。
このモデルの娘には悪いが、社会のルールじゃて、諦めてもらおうかのう。
審査委員会の小娘共がキャンキャン騒いでおるが、それは些細なこと。
審査員歴が長いわしの意見の方が通って当然なのじゃ。
今宵の審査会で有害図書に指定して、悪しき写真集を差し止めるのじゃ!
さて、いつも通りこの写真集を有害図書に指定して、青年たちを守らねば。
それがわしの使命であり役目なのだ。
すべての水着の写真集がアクトは言わぬが、少しでも青少年に悪影響を及ぼす可能性があるのであれば、それは対象とすべきなのじゃ。
そもそも最近の規制は甘すぎる。
もっと厳格に取り締まらねばならんのじゃ。
発売禁止に反論する女視点
ありえないわ。
これはただの水着の写真集じゃない。
確かに私は女性の性的搾取を断じてきた。
でも、これは少し官能的だけど至って普通。
それをあのジジイがいつもの大声で発売禁止の指定を押し切ろうとしている。
これは女性の権利を守る戦い。
老害には負けてられない!
「お言葉ですが委員長?この写真集のどこが有害なのか教えていただきたい」
「どこも何も、すべてじゃ」
「では、こちらの写真集の方はどうでしょう。昨年発売されて今も普通に販売されている写真集なのですが、こちらのほうがポーズ、レイアウトともにかなり攻めた内容です。なのにまだ内容的に健全な今回の作品を有害と断ずるには納得できません」
「小娘に何がわかる。わしが判断したのじゃ」
「それはあなたの独断と偏見であって、あなた個人が性的に興奮しただけの話でしょう!?」
「そうだ!どう見ても今回の写真集は指定されていないこちらより内容がおとなしい!納得がいく説明をいただきたい!」
普段私のほうが指定することに躍起になることが多いのに立場が逆転したわよ?
さあ、どう主張するの?
納得がいく説明できる?
「皆さんに伺います。この写真集は有害ですか?」
誰も手を挙げない。
挙げたのは老害だけ。
「ぐぬぬぬ」
顔を真っ赤にしても駄目。
この際このジジイを審査委員会から追い出してやるわ!!
鬼藤視点
まさか本当に発禁を食らうとは思わなかった。
だけど内容というよりシアさんが魅力的すぎた。
だからかもしれない。
内容はかなり無難寄り。
ここはかなりシアさんが気にかけてくれたところ。
だから正式決定にはならないと思うけど…。
だけどこればかりは分からない。
あの第三者委員会は頭が硬い人が多いことで有名だ。
内部で意見が割れてくれればまだ可能性はある。
今、審査会が行われてるから、この結果次第ね。
…時計の音がやけに大きく聞こえる。
マネージャーなのに力になれないのが悔しいわ。
「鬼藤!!」
びっくりした!!
社長どうしました!?
「認定が覆った!!有害図書の認定が取り消されたんだ!!」
まさに僥倖。
このひと言に尽きる。
どこにでも嫉妬の種があるからいつかはと思ってたけど、まさかこんなに早く潰されかけるとはね。
だけどこのスキャンダルがシアさんの価値を押し上げる。
「社長、本腰入れましょう。この発禁指定解除の箔を逃すべきではないです」
「だな。明日から専門チームをつくって売り出していくぞ」
多分シアさんをこちらで操縦するのは無理だ。
あの子は嫌なものは嫌と断ってくる。
扱いにくくはあるが、金の卵には間違いない。
さあ、これから忙しくなるわよ!!
まずはシアさんに連絡しなきゃね。
これで沖縄編は終わりとなります。
エルシアの写真集、発売三日目で発禁処分になりかけました(笑)。
現実にこんなことが起きるかは分かりませんが、エルシアならありそうだなと思って今回の話を書きました。
沖縄編、いかがだったでしょうか。
感想などいただけると嬉しいです。
次は掲示板回になります。
嗚呼、メンタルが削がれる……。




