夢を決意♡仲間や家族との決断
朝日がまだ町を照らしきらんうちに、わしは目を覚ました。
布団の中でゴロゴロしながら、昨夜のライブ映像を思い出す。
センターの悠美の笑顔が、頭ん中でグルグル回るんじゃ。
「……わし、本気で行くけん。」
隣の部屋から、母ちゃんの声が聞こえた。
「凛、朝ごはんよー」
わしは返事せんまま、ふと鏡を見る。
バイクで夜の町を駆け回る凛の顔と、目の奥にある焦り。
「やっぱ、夢っちゅうもんは、簡単には叶わんじゃろうか……?」
その時、里奈がガラッと部屋に入ってきた。
「おい、凛。何ブツブツしとんの?」
わしは思わず言う。
「わし……アイドルになるけん!」
里奈、目を丸くして椅子に座り込む。
「は? お前、マジで言うとん?」
「本気じゃ!」
「アホちゃうん、そんな島根から東京のアイドルになれるわけないやろ!」
…って言われたけど、わしの胸は熱くなるばっかりじゃった。
昼間、わしは仲間たちとバイクで町を回る。
「凛、ほんまに東京行くんか?」
「んー、行くわ。絶対行くわ。」
バカ笑いしながらも、仲間の目には心配が浮かぶ。
「……わし、行かんと後悔する思うけぇな。」
夜になり、家の縁側で母ちゃんと話す。
「東京は危ないで、凛。あんた一人でやっていけるんか?」
「……わし、自分の力で夢掴むけん。」
母ちゃんは黙ってわしの頭を撫でた。
「……あんたの決めたことなら、応援するしかないな。」
里奈が隣で小さくため息をつく。
「わし、あんたについていかんけど……無茶はせんでよ。」
島根の夜風が、わしの心を包み込む。
「よし、決めた。絶対、LUNAのステージに立ってみせる。」
その瞬間、胸の奥で何かがパチンと音を立てた気がしたんじゃ。
――こうして、わしの島根脱出作戦が静かに幕を開けた。