ハブ酒93
ならば、このドラゴンは何者だという話で、なぜ自分達を助けてくれたという話なのだが……
「……君達には話しておこう、私はこの子の体の……ドラゴンの核となる欠片」
「ドラゴンの……欠片?」
「そう……私は、とうの昔に命が朽ちてこの世界に還り、欠片となっていたのだが、この子の魂が私の欠片と結合してくれたおかげで、今こうやって君達と話をしている」
「それは……あなたがレインさんスか?」
時折、火内との話しの中に出ていたドラゴンの名前。
レインは、火内が覚醒する時に、力を貸してくれたドラゴンだと言っていたのだが、
「彼か……彼は、私とは違うドラゴンで、私達の間で生き長らえていたというのが正しい……けれど、彼には助けられた。彼がいなければ、私が、この子をドラゴンに目覚めさせて消えていた」
どうやら話の中で出て来たレインでは無いらしい。
「それなら、あなたは?」
話に聞いていないドラゴン、それがなぜ今の今になって現れたのかと、不思議に思うのは当たり前の話。
「私は……友達と共に願ったんだ……人とドラゴンが共存出来る世界を……世界を、欲望を持った者達から護ると……」
そう言ってドラゴンが振り返って見据えるのは、あの黒い怪物。
「敵なんですか……」
「敵だ……」
「因縁の相手なんスか?」
「……私にとっては、そうかもしれないな」
細めていた目をミィオに向けると、その表情は険しく、難しい顔をしているようであった。
「……考え事スか?」
何かを懸念している表情に、何を思い詰めているのかと聞こうとするのだが、
『『『『『ぐぅおぁあおあぁ……この……この爬虫類如きが……!!!!許さん……許さんぞぉぉおおぉおぉぉおぉ!!!!!!!!!!』』』』』
浴びせられた炎を、必死に黒い雨で鎮火させた怪物が、眼の中に鬼の形相の顔を浮かべて、こちらを睨んで怒り狂っている。
「相手をしてやろう」
「あの!!あの!!その体なんですけど!!!!!!」
「君達を助ける代わりに私の力を貸した。次は、彼の体を借りてヤツを消滅させる」
『バッッサァァァァァァァァァァ!!!!!!!!』
「無茶しないでくださぁぁぁぁあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!」
これ以上喋っている暇は無いと、羽を羽ばたかせると浮かび上がって、怪物の方へと向かって行ってしまう。




