ハブ酒91
「火内君が来てくれてよかった……」
最初の戦い以来、ずっと逃げ惑うような動きをし、この死ぬという土壇場で、自分達の仲間であり、一番力がある火内が来てくれた事で、リナと美優はホッと一息を付くが、
「まだドラゴンがいるのかよ!!!!」
「殲滅しないとね……」
美優とツバメは、いきなり現れたドラゴンを歓迎するのではなく、新たな厄介事が来たと臨戦態勢に入ってしまう。
「二人共落ち着いて、あれは味方だから!!!!」
臨戦態勢になっている二人をリナがなだめ、
「リディさん、こっちッス!!!!」
突き飛ばしたリディに、ミィオが肩を貸す。
火内が来た事で、この状況から脱する事が出来ると、ミィオとリナの二人で、リディ達を火内の前に連れて行こうとするのだが、
『『『『『この……よくも……よくも……よくも!!!!!!!!!!たかが爬虫類のドラゴンごときが!!!!!!!!!!許さん!!!!!!許さんぞぉぉぉぉおぉおぉぉおぉ!!!!!!!!』』』』』
良い気分で有頂天になっていた所に、バケツ一杯に満たされた氷水をぶっかけられて水を差されては、ケラケラと笑っていれる気分であるはずもない。
この場から逃げ出す、唯一の方法であるドラゴンを潰してやろうと、拳を振り降ろすのだが、
「みんな……ゆっくりで大丈夫だか…ら……」
火内も振り向き様に拳を振り上げると、
『バッッッチィィィィイィィィィィ!!!!!!!!!!!!』
破裂音が響いて、怪物の拳が波打って原型が崩れる。
「火内君!!!!!!」
「こっちもOKッス!!!!!!」
少しの攻防戦の間に、リナがツバメと美優の首根っこを掴み、リディに肩を貸すミィオが一緒になって集まっている。
『さぁ…の…って……』
乗りやすい様に手をお椀にして、リナ達の前に手を伸ばすと、
「うん!!!!」
全員が火内の手の中に乗り込む。
『『『『『逃すかぁあぁぁぁぁあぁぁぁぁ!!!!!!!!』』』』』
怪物は、直接手出しが出来ないと判断して、両の手を掲げて指先から黒い雨を垂れ流す。
「火内君!!!!!!」
空から降り注ぐ黒い雨……それが生命に良くないモノだというのを直感で感じ、避けようがないのだが、それでも「危ない」と声を掛けると、
「大丈夫……だ…よ……」
火内は自分の体を傘にして、みんなを黒い雨から守り、
『バッッサァァァァァァァァァァ!!!!!!!!』
羽を羽ばたかせると、そのまま崩落した天井から外へと飛び出す。




