ハブ酒86
「どういう事だ?」
自分のあずかり知らぬな施設なのに、自分の網膜パターンが記録されている。
この鳥かごという閉所の治安を守るという名目で、指紋と網膜、血液サンプルは取られてしまっているが、こんな所に自分の網膜パターンが使われているのには、合点が行く訳が無い。
メリットが何も無い、部外者を入れるようにしといて、何のメリットがあるというのか?
(嵌める為……?いやいや、こんな施設を作る必要はないだろ)
ここが違法施設で、そのメンバーの一人にする為というのなら、あまりにも回りくどくて笑ってしまう。
そんな事をしなくても、でっち上げの一つや二つは簡単に作れる……もちろん、こちらもそれ相応の対策はしているが、自分を嵌める為だけにこんな施設を……
『おいでミィオ……』
「リディさん……」
自分が考え事をしている間に、ミィオが自分の名前を呼んで、自分に呼ばれて施設の中に入って行ってしまう。
「ミィオ…ミィオ!!!!」
「自分達も行きましょう!!!!」
先に行ってしまったミィオに続いて、リナも施設の中に入り、その後を美優とツバメも行ってしまう。
「くそっ……」
虎穴に入らずんば虎子を得ずというが、別に虎子を求めていないのに、虎穴に入る事に顔が険しくなる。
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(リディさん……)
自分だけが視えているリディさんの幻覚……だけどそれは決して、悪いモノじゃない。
どうしてそんな事が分かるのかというと……そう思っている自分がいるからというしかない。
(あなたは、自分の知っているリディさんじゃないんスよね……でも、助けたいと思ってくれてるッス……)
幻覚のリディさんは、自分の知っているリディさんとは違う……だけど、幻覚のリディさんは、自分の事を護ろうとしてくれている。
ただただ信じて、ただただ呼ばれるがままに付いていくと、
『カシュン……』
先の方で一つのドアが開く。
「そこにいるんスか?」
躊躇する事無く、開いたドアに入りこむとそこには、
「リディ…さん……?」
大きなドラゴンが沈んでいる、プールがある。
大きなプールに沈むドラゴンをリディさんと呼び、ミィオはそのままプールの淵まで近付き、
「ミィオ!!!!」
もう一人のリディさんに手を掴まれる。
「こっちだ」
ドラゴンから引き離されるかのように、壁際に方に連れていかれ、
「もう良いだろ?ここで身を隠そう」
「……はいッス」
二人して壁際でへたり込む。




