ハブ酒84
路地の奥の方からリディさんの声が聞こえて、その声のままに顔を上げると、路地の奥の方で、白衣を着たリディさんが立っている。
「え…えぇ‼!?」
自分の思い違いかと振り返ると、そこにはみんなと一緒に、大通りの方に顔を出しているリディさんが間違い無くいる。
けれど、向こうにいる人も……
「あ…あれ……ッス…………」
振り向き直った時には、路地の向こうにリディさんはいなかった。
「…………」
何かの見間違い……リディさんが二人もいるはずはない……だとしたら、消えたリディさんは単なる幻覚というのが、普通の考えだが……
「……みんな、向こうに行こうッス!!!!」
一度だけ見た、幻覚かもしれないリディさんを信じる。
「どうした……って、まぁ行けるなら行くべきか。良いですかリディさん?」
「あぁ大丈夫、何もない状況で、アレをずっと見ていても仕方無いしな」
怪物には興味はあるものの、今の自分には何も出来ないし、路地裏に逃げ込んで立ち往生してはいるが、それなりに時間は経っている、もう状況は変わっているかもしれない。
「じゃぁ自分とツバメで、向こうの様子を見てきます」
「そうしよっか」
リナとツバメは、大通りから顔を引っ込め、路地裏の反対の方へと顔を出し、
「もういない」
「だね、ドラゴンもどきは、もういないよ!!!!」
さっきまで陣取っていたドラゴンもどきが、いない事を確認する。
「やれやれ、あんなのまでいるんじゃ、常にパワードスーツを着ないとな」
「そう…ッスね……」
「……何かあったのかいミィオ」
「いっ…いえ大丈夫ッス……」
ドラゴンもどきがいなくなって、これでまた移動出来ると、美優は機械の腕をグルグルと回し、どことなくぎこちないミィオを、リディが心配する。
「それじゃ行こ!!」
リナ達一行は、怪物がいる道とは反対に出て、人の死体が転がる道を走り出す。
あの化け物を見てもなお、パワードスーツを着用して戦う意思は揺らがない。
もちろん、あの怪物と戦うつもりは無い、自分達が出来る事を……自分達が戦うべき相手、
「ちっ……!!!!まだいるのか!!!!」
基地へと向かう道を封鎖するかのように、座している、あのドラゴンもどきを最終的には倒す。
通りを真っ直ぐにいければ、基地まで行けるが、こうも道を塞がれては、みっちもさっちいかない。
また路地裏に入り込んで、別の道に行こうとすると、
『こっち……こっちにおいでミィオ』
一つの路地裏から、リディがミィオを呼んでいる。




