ハブ酒80
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(危なかった……)
火内は、まるでロボット物のアニメのように、倉庫の入り口を破壊して姿を現したが、それは格好付ける為ではない……倉庫の開け方が分からなかったから。
最初の時点で、この大きな搬入口を開閉するには、人力では不可能だというのは見ただけで分かる。
何かしらの操作、さっきのドラゴン型の兵器なら、搬入口と連動していて近付くだけで開くようになっていたのかもしれない。
だが、自分の身に着けているアーマーには、そのような機能は無いらしく、搬入口に近付いても扉が開く事は無く、また、扉の端の方を見ると操作盤はあったのだが、
(この体で……それにどうやって操作するんだ……)
あるのは人のサイズで作られた操作盤で、触った事の無い操作盤。
これを操作すれば、搬入口が開くのは想像付くが、今の自分にはそれは操作出来ず、この状況から導き出される答えは……
(……今はドラゴンだ)
ドラゴンに作法も無法も関係無い。
『ドゴォォォォォォ!!!!!!!!』
腕に付けた鋼鉄の爪を倉庫の扉に突き付けてて、
『ベキベキベキベキ!!!!!!!!』
倉庫の扉を力任せにこじ開けて、そのまま外に出る。
(これは緊急事態なんだ……)
自分がした事が……勢いで軍の施設を破壊したが、それはとんでもない行為。
内心では冷や汗をかき、今更周囲を確認した所で何ら解決しのだが、それでも、周りに人がいない事を祈って見渡すと、
『…………』
火内の視線は、一人の男性に釘付けになる。
その男性の胸元の記章は明らかに、そこらにいる兵士とは違う、見ただけで将校とかのお偉いさんだと理解し、体が固まってしまったが、
「素晴らしい格好だ……そのアーマーは壊して構わん……思う存分やって来るんだ……」
『…………』
お偉いさんからの激励に、火内は逃げるように滑走路へ歩き出す。
黙っていたから、まるでアーマーを着込んだドラゴンが勇ましく現れたかのようであったが、
(……とにかく問題無し!!!!)
気持ちとしては、ただならぬ状態であった。
『…………』
滑走路まで逃げ付くと、ここで一息入れてから羽を伸ばし、あの怪物の方がいる方角に首を向ける。
立ち向かっただけで、敗北を認めた相手……それに対して今一度、立ち向かおうとする自分。
(……やってみるしかない)
立ち向かうのは何も自分だけではない、軍も出てくれている。
『バァッサァァァァァァァァァァ…………』
羽を羽ばたかせて空へと飛び上がり、怪物へと向かう。




