ハブ酒7
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そして始まった、水節約の日々。
その日の朝に必要な水を支給されて、それを後生大事にしながら生活用水と飲料水として分けるのだが、
「アタシだけ、水の量多くない?」
「生きるのに必要な水の量スから」
更に個人用で水の量を再分配する。
リナの懸念した通り、支給される水だけでは多少足りない所か、確実に水が足りない。
トレイに付いては仮設トイレがあるから問題無い、服も数日来てから洗剤の泡を注ぎ洗いしないように、一回の水だけで手洗いをする、風呂は濡らしたタオルで体を拭くという方法でしのぎ、料理は全て火内が付きそうという形で水を無駄に使わないようにするのはもちろん、食器にラップを巻くという方法で、水洗いをしないようしてきたのだが……
「そんな事しなくて良いから!!」
「ダメだよ、何もかもが散漫になってる」
それでも水が足りない……特にリナはやばい。
RLH…人よりも優れた肉体を持っているが、それは同時に燃費も悪い。
バラツキはあるが、平均的な女性の消費カロリーが1800位だとしたら、女性アスリートで2600位……なのだが、リナはそれを遥かに超えている。
身体能力が高いから、燃費が悪いというのに、そこに追い打ちを掛けるのが……
「うぅ…自分の体が恨めしい……」
「しょうがないッス、自分達は成長期スから」
一番の問題は成長期という事、リナの体は、これから肉体を作る時期にある。
体を作るというのは、筋トレだけをすれば良いという訳では無い、その筋力に見合った食事もしなければならず、中には優れた肉体を持っていても、食が細い故に体を作れずに涙を流す者すらいる……そういう意味では優れた肉体を持って、しっかりと栄養を取れる体を持つリナは、恵まれているのだが……この状況では無用な長物。
「火内君は…大丈夫なの?」
「うん……ありがたい事に、人間の状態なら問題無いよ……ドラゴンになった後だと、もの凄くお腹が空いて辛いけど」
「うぅ…アタシもドラゴンになりたい……」
それに比べて火内の燃費の良さ。
火内自身も人間の時は、アスリート並みの身体能力を維持するために多くの食事をするが、それでもリナほどではなく、それなのにドラゴンになればRLH以上の身体能力を有する。
必要な時だけ出力を上げられる火内に対して、リナは常時でエネルギーを多く消費している。