ハブ酒70
鳥かごの空が壊れる。
砕けた空がキラキラと輝き、星屑となって地上へと降り注ぎ、
『…………』
『…………』
二人は、星屑が落ちる空に固唾を呑む。
空が割れたのは偶然じゃない……この世界に侵入してくるモノ達がいて、それが望んで空を壊した。
『来るぞ……』
『行くしかないのか……』
『……そうだな……怖いな……私も怖いよ……』
怯えて後退りをするドラゴンを責めるのではなく、自分も怖いと言って震える。
壊れた鳥かごの隙間から感じる「何か」は、普通じゃない……おぞましいモノを煮詰めて…煮詰めて……煮詰めて………それをずっと…ずっと……ずぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ……と繰り返してドロドロになるまで濃度を濃くしたような感覚が、喉にねたつく。
『……行けるな』
原人はドラゴンの体を見て、足の怪我と殴った腹が治っている事を確認したが、それは逆に不安を煽る。
ドラゴンは今の今まで、体の治療の仕方を良く分かっていなかったのに、体を治している……それは本人が「何か」に立ち向かう為に治癒したのではなく、このままでは殺されると本能が反応して、勝手に治癒したのだろう。
『行ける……』
『頼むぞ……』
後退りで怯えるドラゴンの背中に飛び乗ると、原人もまた不安で震える手で背中にしがみつき、
『飛べ!!!!』
『バッッサァァァァァァァァァァ!!!!!!!!』
立ち向かう意思を原人が、立ち向かう勇気をドラゴンが振り絞る。
二人は砕けた空へと、常闇がポッカリと顔を出す闇夜へと向かって行く。
尻込みしないように、飛び出した勢いのままに闇夜を突き抜け……
『『『『『はははははははははははははははは!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!愉快な者達!!!!!!!!!!!!そんなに遊んで欲しいか!!!!!!!!!!!!??????????』』』』』
『下がれぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
常闇の向こうから覗かした「何か」の声に耐え切れずに原人が悲鳴を上げ、
『バッッサァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!』
ドラゴンも同じタイミングで「何か」の声に圧されて、羽が逃げた。




