ハブ酒67
「う…あぁ……」
「あ…あぁ……」
『バキ!!ボキ!!ドスン!!』
迫り来る甦る物達、その群れを原人は次々と始末する。
どれほどの力を有しているのかと期待しながら、腹を殴り、首を折り、胸を貫き……群がる甦る物達を倒していくと、
(こうも手応えが無いとなるとな……)
原人の手が止まる。
死んだ者の甦りし物は、動きが緩慢で、あまりにもつまらない。
(これが動かしているのか?)
地面に広がる、赤い血の被膜を足先でなぞる。
この赤い皮膜に包まれた遺体は、白血球のように、T-REXの再生を邪魔する者を始末しようとしているのだろうが……
『粘膜ではな……』
「うぇぁぁ……」
迫ると言っても「ノタノタ」と近付いて来る鈍い甦りし物。
この粘膜には、興味を抱くものがあるが、敵としては興味は沸かない。
「あぁおぁ……」
『ボッキン!!』
それでも、甦りし物は「ノタノタ」と近付いて来るので、心底面倒臭そうに拳を叩き付ける。
(もう良いか……)
ドラゴンが、T-REXの胃を突き刺し引き裂き、側による甦る物は、尻尾と羽で振り払う仕草をしているのを見て、あっちも大丈夫だと判断すると
(後は頑張れ)
こちらには気を回していないのを確認してから、もうここまでだと、こっそりと帰る事にする。
ミンクの装備は準備万端にしてあるし、連れて来たドラゴンもどきは、全部解き放ってある。
基地を叩けとも言われていたが、鳥かごに被害を与えて、T-REXという敵の生物兵器を確認したのだから、もう十分十二分の腹満杯。
(またな、ドラゴン)
原人は踵を返して、その場を後に……
『グチュ……』
しようとした足を掴まれた。
まだ帰るなと、まだやり合おうと言って来ているのだが、もう興味は無くなっていて、手を振りほどいて行ってしまうはずだったが、
『………………!!!!!!!!!!!?』
原人の目が、怯えて震える。
自分の足を掴む手は普通じゃない……T-REXの赤い粘膜なのだが、そこに「何か」他の力を感じる……
それは自分のような……雷鳴化した自分のような感覚。
マナを電気質に変えて、それを纏うかのように、この赤い粘膜には『何か』が混ざっている。
『グチュグチュグチュグチュ…………』
「喰われる!!!!」
原人は心の底から悲鳴を上げると、雷鳴化して足に喰らい付いた『何か』を振り払うのだが、
『グルゥアァァァァアァァァアァ!!!!!!!!!!』
『ドラゴン!!!!』
この不気味な現象は自分だけでなく、ドラゴンにも牙を向けていた。




