ハブ酒66
胃から血管が浮き立ち、血管が根っこのように伸びて、再び肉体を創ろうとする。
『止めを刺してやる!!!!』
まだ生き返ろうとするT-REXに対して、引導を渡すためにドラゴンが向かって行くと、
(まっ……仕方ないか)
原人は、残念そうな表情を浮かべる。
あそこの状態から、どこまで再生するのか見てみたかったが、ここで止めては自分が、T-REXを始末する為に戦っていないのが、バレてしまうかもしれない。
別にドラゴンと戦っても良いのだが、別にここで決着を付けなければいけないとも、思っていないのも事実。
今回はこの位で良いであろうと、ドラゴンがT-REXの真の心臓部である胃を潰すのを見守り……
「う…あぁ……」
「なんだ?」
突然聞こえた呻き声に、反応した原人の心の声を、青い鳥が漏らしてしまう。
「あ…あぁ……」
それは不意な呻き声。
声のようではあるが、かすれた呻き声。
想定していなかった第三者の声、これは何の声なのだろうと、首を傾げてみると、そこには、
「あぁ…………」
焼け死んだはずの人間が、T-REXの血を纏って起き上がっている。
まるで母体から生まれたばかりの赤ちゃんのように、赤い血の被膜を被って、死んだ人間がゾンビとなって生き返っている。
その何とも奇妙な、アンバランスな姿……それに、T-REXの血によって蘇った人間が興味深くて、
『……ドラゴン!!面白いのがいるぞ!!』
ついつい、お前も見てみろと誘ってしまうが、それは完全な言葉のミス。
「面白いのがいる」というのは、原人が真剣に戦っていない事を物語っている。
『それは焼け死んだ、人間じゃないのか!!!!』
『そうだったな……』
ドラゴンは、血管を生やして生き返ろうとするT-REXの胃を引き千切っていて、話半分にしか聞いていなくて助かったが、今の言葉をしっかりと聞かれていたら、ドラゴンの拳は自分の方に向いていただろう。
『……お詫びじゃないが、死んでいる物とはいえ、自分が住んでいた所の人間を狩るのは気が引けるだろ?』
『おいっ!!!!』
『じゃぁ、お前がやるか?』
『…………』
『ここは任せておけ』
ドラゴンが下手に、それは元々は人間だから無造作に扱うなと、こちらに手を出さないように釘をさしてから、
『バッギン!!!!』
この世に蘇った遺体を始末する。




