ハブ酒61
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『…………』
原人に足を治せと言われたが……そんな術が無いから足から血を流し、痛みを堪えているというのに……それが出来るのなら、すでにやっている。
『問題無い…この程度の怪我で、ドラゴンはどうにもならない』
興奮状態が少し収まったからか、足に痛みが走る。
どことなくぎこちない動きで、足をかばうように、爪先立ちをして痛みを誤魔化すと、
『……体を小さく出来るんだろ?』
『…………』
『返事はしなくて良い。どういう理屈で体を伸縮しているかは知らないが、その方法で体を創り治したらどうだ?』
原人は、何かを察して助け舟を出すかのように、火内に体を治す方法を教えて来る。
だが、敵である原人に言われて「はい、そうですか」と頷いて、素直に出来る程、火内は大人じゃない。
憎々しそうに牙を噛み締めながら、原人を睨み付ける。
『まぁ、戦うのに問題無いのなら、足の治療をしなくても良いさ……決着が付くぞ』
『パァアァアァァァァァァアァアァァアァァアァアァァアアァ!!!!!!!!!!!!』
一際大きな声が響くと、片方のT-REXが同族であるT-REXを仕留めて、勝利の咆哮を上げている。
体は、あちらこちらを噛み千切られて血を噴き出しているが、
『ブチブチブチ!!!!!!』
仕留めたT-REXの体を引き千切って、捕食をするとたちまちに傷を癒していく。
このままT-REXを捨て置く事は出来ない……屋上から飛び立って、もう一度T-REXと戦う為に羽を広げて、建物から飛び立つと、
『それじゃぁ行くか!!』
『待て!!誰も一緒に戦うなんて……!!』
そのタイミングに合わされて、背中に飛び乗られてしまい振り払おうにも、
『分かっているさっ!!地面に墜落するぞ!!』
『……!!』
そのタイミングは無い。
『バッッサァァァァァァァァァァ!!!!!!』
傷付いた膝を傷めないように、羽を広げてホバリングで地上に降り立つと、
『パァッァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!』
羽の音に反応したT-REXが、咆哮を浴びせて来る。
『もう傷が……』
臨戦態勢になっているT-REX、しかも傷が完全に癒えた万全な態勢……これでは先程まで、同士討ちをしていたというアドバンテージは無くなってしまっている。
『とんでもない化け物だ……とりあえず、私から行こう!!』
全く無傷の状態のT-REX……だが、それでも原人は恐れを抱かず、また、逃げてT-REXの体力を減らすという対策もせずに、突っ込んで行く。




