ハブ酒60
自分の事を掴むその手は、しっかりと体を固定しているが、決して握り潰そうという圧迫感は感じない。
高速エレベーターに乗ったかのように、横目に見える建物が下に下がっていく錯覚を覚えるのも束の間、
『ドォスゥゥン!!!!』
『おぉ!!』
建物の壁から抜け出ると屋上の上に降り立ち、
『あれは、お前達の仲間か!!!!』
『『パァッァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!』』
握られたまま屋上から突き出されて、下で暴れ回るトカゲの化け物を見せられる。
縄張り意識、最後には共食いをする事を宿命付けられているトカゲの化け物は、互いに噛み付いては肉を引き千切り、地面に転がる遺体も捕食し、体を再生させながら戦う。
『分かっているじゃないか……私を握り潰さないのが答えだろ』
『…………』
ドラゴンは、突き出していた原人を屋上の方に戻すと、手を離して解放する。
『だったらあれは……』
『そっちの生物兵器なんだろ?ドラゴンもどきが、あれにやられた』
原人は、肩に爪をひっかけていた青い鳥に無事かと頭を撫で、くちばしが割れていないかと嘴を触り、青い鳥が怪我していない事を確認してから、
『違う!!あんなのは見た事無い!!』
『じゃあ、第三勢力という事だな』
金網のフェンスに体を預けて、下で戦っているトカゲの化け物を眺める。
『ふざけた事を!!』
『ドスンドスン!!!!』
自分の物言いが気に入らなかったドラゴンが、詰め寄って来るが、それでも自分の預かり知らぬトカゲの化け物、何も慌てる事は無く、
『あれが、お前の方の生物兵器じゃなくて、私の方の生物兵器じゃない……だったら、一緒にあれを潰そうじゃないか』
『なに?』
振り返って、ドラゴンにあれを一緒に潰そうと誘うと、何を言っているんだと、ドラゴンの頬が怒りで『ヒクヒク』と引き攣るが、そんなのは御構い無し。
『なんの問題がある?それとも、あれはやっぱりお前達の生物兵器なのか?』
『違うと言ってるだろ!!』
『なら問題無いな。トカゲの化け物の決着が付く前には、その足を治しておけ』
唯一気になるのは、足から血を垂れ流している事。
大した傷じゃないと放置しているのかもしれないが、万が一という場合もある。
トカゲの化け物とやり合う前に、準備は万端にしておけと伝え、下のトカゲの化け物の決着が付くのを待っていると、
『…………』
『どうした?』
ドラゴンが何か、重苦しい雰囲気を醸し出している。




