ハブ酒58
噛まれて溢れ出る血の熱さが、皮膚に伝わる……このままでは足を引き千切られてしまう……
『グゥゥ……』
プロレスなら禁じての目つぶしを、T-REXの目に仕掛けると、捕食しようとしていたT-REXには、突然の目潰しを躱す事が出来ずに、
『ブチュゥ……』
『パッアァァァ!!!!!!』
目を潰された痛みに口を開いて、ドラゴンの足を開放してしまう。
どれだけ優れた再生能力があると言っても、痛みを感じない訳ではない。
『グゥオァァアアァ!!!!!!!!』
『バァァチィィィンンン!!!!!!』
噛まれた足をかばいながら、羽を使った空中回転で尻尾をしならせて、T-REXを叩いてから距離を取り……
『グゥゥ……』
血が溢れ出る膝を、地面に付ける。
致命傷?足は嚙み千切られていない?
目で足がある事を確認し、手で足を触れて無事である事を認識する。
(なんて……なんて弱いんだ、この体は……)
火内は、この大型化した時のドラゴンの形態に付いて、不満を漏らす。
ドラゴンの力……ドラゴンもどき、T-REX相手には何も意味をなさない。
人型のドラゴンなら、こう……人間の動きを超えた戦い方で、ミンクを圧倒できるのだが、大型のドラゴンだと、どうにもならない。
(レインさん……あなたなら……)
最期の姿を見せてくれた、レインさんのドラゴンの姿……あの神々しいまでの域は、ただの生物では無かった……
『パァッァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!!!!!!!!!!!!!!!』
『グゥゥ……グルゥアァァァァアァァァアァ!!!!!!』
これでは、爬虫類同士の小競り合い……何かが違うはずなのに、その何かが……トリガーが分からない……
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『パァッァァァァァァァァァァ…………パァッァァァァァ…………』
『……!?……!?……!!!!』
「どうした!?どうした!?へばったか!!!!」
それは原人にとって、予想通りの展開になった。
あれだけの生物の生命維持させつつ、傷の再生という無茶苦茶な能力を考えれば、それを維持させるためのエネルギーは莫大になるのというのは、容易に想像がつく。
そしてそこから、戦う為の「生物兵器」という概念を足せば、あれは局地的な、一時的な使い捨ての兵器という想像に辿り着く。




