ハブ酒4
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「ふぅ……」
定期的なリナの報告……別にユナさんもこの事を知っているから、密偵という訳では無いから、罪悪感が沸くような事は無いのだが……
(まだ聞くか……)
もう数ヶ月の出来事……ドラゴンに付いて、まだ聞かれる。
月に一回のリナの報告……前までは貴重な話だと、一日一日の事をレポートにしてまで出せと言っていたのが、今では手抜きのレポートでも誰も文句を言わない。
その代わりにドラゴンの話だ。
銃弾を使い、パワードスーツもパワージャケットも破損している以上、RLとRLHと戦った事は報告せざるを得なかった。
「でも、この光景どうしよう……」
木々が殴り潰され、大地がめくれ、それに破損したドラゴンもどきの遺体……それは明らかな、パワードスーツ以外の何かが暴れた形跡であり、ドラゴンもどきの体の傷も、何か他の者と戦った跡。
火内がドラゴンになれるというのは、本人も知られたくないという事だったのもそうだが、人間がドラゴンになれる等知られたら、火内がどのような扱いを受けるか分かったものじゃなかったから、ドラゴンの事は伏せる事にした。
最初はドラゴンもどきが、同士討ちしたという話にしようとしたが……
「それは止めた方が良いですね」
小此木が、風の噂でRLHとは違う存在を……上の者達がドラゴンを探しているという話をする。
特別な部隊を組まれては定期的に地上に行かされ、何かを探しているという部隊……風の噂は一つだけでなく、例えば上の人間が地上に安全に済むための場所を探しているとか、他の鳥かごの支配下にあるところに潜入しているとか……色んな噂があったが、その中にドラゴンを探しているという噂があった。
その噂は、色んな噂が立った事で生まれた、尾ひれの話かと思っていたが、現実にドラゴンを目の当たりにしては、その噂こそが本物だと思わざるを得ない。
上の人間が、何のためにドラゴンを探してるのか分からない以上、火内の事は隠しておくべきだと方針はそのままに、その上で真実を隠すなら薮の中……ドラゴンはいたという話に舵を切る。
あの時の場にドラゴンはいたが、それはあくまでもドラゴンもどきと一緒に現れたと。
そうすれば、向こうがドラゴンがいたという事実を見付けて、自分達が嘘をなぜ付いていたかと詰問されなくて済み、話がしやすくなる。