ハブ酒44
美優の相棒のツバメ。
彼女のスタイルは、以前にリナと戦った時に披露しているが今一度、今回はミンク相手に披露する。
太い腕を絡め捕られたミンクは、腕を振って紐が千切れるかと試すが千切れない。
そこで紐を千切ろうと、悪戦苦闘してくれれば楽なものだが、
『ウゥガァ!!!!』
何と賢いミンクなのだろうか、紐が千切れないと判断するといなや、紐が伸びている方、ツバメの方へと突っ込む。
それは繋がれた犬の首輪と一緒。
ツバメその辺の街灯に紐の先を結んでから、ミンクの太い腕に重しの付いた紐先を投げたので、その街灯の方に向かって行けば紐は弛み、紐の長さに余裕が出来れば、拳を振り上げる事が出来る。
ツバメの事を、殴り殺そうと拳を上げるミンク。
しかし、それに対してツバメは笑う。
ミンクの腕を封じたのは、戦いやすくする為じゃない……美優とバトンタッチする為、戦う為。
ミンクが振り上げた拳を、ツバメに向かって振り下ろすと、それに合わせてツバメの手が飛ぶ。
巨体なミンクに対して恐れを抱かない、拳が自分を叩き潰す光景が想像出来ない……それはミンクが、自分より劣る生物だと認識しているから。
ミンクの拳がツバメの真横ギリギリを掠めるが、それはそういう風に避けたから。
ツバメの飛んだ拳は円を描き、ミンクの耳へと飛んで行くと、
『キョォン!!!!』
ミンクが何とも素っ頓狂な声を上げて、
『カッ…コッココ……』
口を半開きにして、ヨタヨタとその場足踏みを始める。
耳を抑え、目を丸く開いて……驚愕した顔で、スローな動きをしていると、
「これで終わり」
隙ありと言わんばかりに、反対の方の耳に向かって手が飛び、
『ヒィン!!!!』
ミンクの呻き声が聞こえると、その場で沈黙してしまう。
「相変わらず、えげつねぇなぁ……」
「美優と一緒だね」
ツバメが手にしている、先の尖った鉄の棒から血が滴る。
俗にいう暗器の一つ、点穴針。
何の細工も無い、先の尖った鉄の棒を耳に突っ込み、そのまま鼓膜を破って、脳幹に風穴を開けてやったのだ。
脳幹には様々な神経が通っていて、それこそ、呼吸を司る部分もあるし、運動を司る神経もある。
そんな所を潰された日には、ミンクといえど身動きが出来なくなる。




