ハブ酒38
一度でも戦場に出て、命の危機を覚えたら、そんな舐めた事は口にする事は出来ない。
平和ボケな会話……聞いてるだけで頭が痛くなる思いをするが、
「ちっ…馬鹿共が……一体どれだけの人達の犠牲の上で、この世界の平和があると思っているんだ……」
リディは吐気を催して、悪態というゲロを吐き出す。
「とにかく基地に行こう」
周りのバカ騒ぎにイラつきを覚えながらも、全員を一番安全であろう基地に連れて行こうとすると、
「軍用車だ」
「ほんとッス」
兵士を運ぶ為の幌車がもう走っているのを、ミィオとリナが見付ける。
これで、あの緊急警報がただの誤報では無く、軍を動かさないといけない事態が起きていると……
「頭を下げろ!!」
「こっちに来い!!」
これから戦争が起きるのだと、体が身震いして動き出そうとしていたのに対し、リディと美優はもう、体が戦う事に馴染んでいる。
リディがミィオの手を掴み、美優はリナの手を掴むと、二人はミィオとリナを連れて路地裏に隠れたその時、
『『『ドゥルルルルルルル!!!!!!!!!!』』』
幌車から、独特な弾丸が流れる音が聞こえて、周囲が真っ赤に染まる。
「なに!?」
あまりの突然な出来事に、何が起きているのかと目が丸くなるが、
「あのナンバープレートは、港にある車両だ」
「随分と、早い連中ですね」
リディと美優はナンバープレートの時点で、あの幌車はおかしいと気付いて、目付きが鋭くなっている。
「戦わなきゃ……」
この場で戦えるのはRLHの自分だけ……そう思って戦う気力を振り絞るが、
「無駄だ、みんな死んでる……分かってるだろ?」
その場で大人しくするようにと、掴まれている手を引かれてしまうと、腰が抜けたかのように地面にへたり込む。
路上にいた人達は、全員死んだ……あれ程賑やかに騒いでいたのに、一瞬で物言わぬ死体となって地面に転がる。
悲鳴すら上げる暇すら無く、人が肉片に変わり、平和な世界が一瞬で静寂な世界へと変わる……
『『『ドサッ……』』』
「そんなのってありスか……」
平和な世界を、静寂な世界に変えた張本人達が幌車から降りて来たのだが、その手にはミニガンが握られている。
ミィオが使用した沙羅曼蛇よりも、小さく威力も低いが、生身の人間には十分な威力で、その効果は見ての通り、生身の人間では抗える者はいない。




