ハブ酒35
鳥かごという、生きる場所を制限させられているような名称だが、その大きさは日本の北海道程の大きさがある。
鳥かごの役目は、人類の新たな安息の地を創り出すという側面もあるが、もう一つ大きな役目として、RLを駆除した後に地上に降りて、地上の発展の基礎となる役目がある。
その役目を果たす為にも衣食住だけでなく産業、軍すらも準備しているからこそ、北海道程の大きさを有していて、
(これは何の作戦なんだ……)
とてもじゃないが一つの航空基地を抑えて、大型輸送機を複数奪い取った所で、鳥かごを制圧する事等出来ないのは、机上の空論所の騒ぎではない、机上の上で論ずる必要すらない。
やれる事と言えば死に物狂いの殺し合い……心臓が痛い位に萎む……怯えているのでは無い、理解の出来無い作戦に嫌な予感がするのだ。
『…………』
この不安を共有したくとも、今回の作戦に相棒は同席していない。
肩を吹き飛ばされて、片腕を無くした相棒は役に立たないと見捨てられる所であったが、自分がマナを扱えるようになった事で、それなりにお願いをする事が出来るようになり、相棒に義手が与えられる事になった。
そのリハビリに相棒は専念して、今は後方支援の任に付いている……この作戦に駆り出されたのは、その見返りをしろという事なのだろう。
鳥かごという、愛らしいペットを飼う物の名をしているが、実際は蜂の巣で……
『こちら鳥かご、予定通りC港から進入せよ』
「了解、C港に進入します」
その蜂の巣に突っ込む自分達は餌となる芋虫なのか、それとも蜂の巣を食い荒らす熊になれるのか……
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「みんなで食事が出来るって良い事ッスね!!」
「そっそうだな……」
他の視線を受けないようにと、レストランの個室を取ったのは良いが、それがミィオを元気にさせてしまう。
周りの視線があれば、美優も「静かにしろ!!」と一喝もしてくれるだろうが、
「あまり騒ぐなよ、壁の向こうに聞こえたらうるさいからな」
「うっッス!!」
防音のしっかりとした個室では、簡単な注意だけで済ませてしまう。
「それで何スけど!!」
ミィオは自分に対して、会えていなかった分だけの出来事を全て事細かく話して来て、これではコースメニューだけでなく、追加注文をするコースになる。
ミィオの話を聞きたくないという訳では無いが……ミィオを不幸にした自分が、彼女の幸せを享受するというのは自分自身で許せない。
「…………」
それで何とか、話を区切ろうとも思うのだが、
「美味しい」
今回の食事会の中心となるはずだったリナは、ミィオの様子を察してか、料理に舌鼓を打つ事に集中している。




