ハブ酒33
「それから準都市で暮らしてたんスけど、リディさんが尽力してくれて、より安全な鳥かごに暮らせるかもという話が来たんス」
「鳥かごで暮らすって、やっぱり特別?」
「都市で暮らせれば、ほぼほぼ安全な生活が出来て、鳥かごで暮らせれば平穏な生活が約束されるッス」
平穏が当たり前の世界で生まれた人間は知らない、鳥かごで生まれた事がどれだけ恵まれた事なのか……平穏が当たり前という事の素晴らしさ、安らかに年老いて死ねる事の幸せを享受している事を知らない。
「準都市は都市の近くスから、都市の安全のおこぼれを貰って平和と言えば平和だったス……ただ……」
「ただ?」
「…………っ……RLが襲ってきたッス」
ミィオは何かを言い淀んだ……何か別の事を言おうとしていたような気がしたが、
「襲って来たRLから自分達を守って…パワードスーツを着用して……それでRLを倒して倒して……それで絶命したッス……」
「…………」
ミィオの母親が死んだ事よりも、大きな事とは思えなくて、その事には踏み込まない。
「アネキと自分の二人だけの子供……身寄りの無い自分達は、前線基地に戻されそうになった時ッス、リディさんがすぐに連絡をくれて、特例処置として自分達を鳥かごに保護してくれたッス」
「優しい人なんだ」
「そうッス。凄く優しい人で、あの時の事を今でも後悔してるッス……自分に出来る事は沢山あったのに、何一つして来なかったって……」
何となく分かった……それはリディさんの人柄ではなく、なぜミィオがリディさんと会えると喜んでいるのか。
過去の罪悪感から、ミィオと顔を合わせるのが嫌で、会おうとしないから、こうやって何かしらの事情が無いと、会えないのだろう。
(でも、美優さんは平気なのかな?)
過去の罪悪感から、ミィナと顔を合わせられないというのなら、美優とも顔を合わせられないはず……だけど、今日見た感じだと、二人の関係は良好そうであった。
「ありがとうミィオ。食事をする時は昔の事を聞かない方が良いね」
「そうして貰えると助かるッス」
ミィオは少しだけ話をしてくれると言ったが、大事な所は色々と伏せられてしまったのを感じた……だが、その事を責めるつもりはない。
ミィオ達にとって、過去の出来事はいまだに尾を引く出来事で、まだ全てが解決している訳ではない。
だから、今は……
「楽しみだね食事会」
「楽しみッス」
せめて、ミィオの為になる事をしてあげようと思うのであった。




