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ハブ酒30

「……というより、知り合いだったんですか?そんな口ぶりですけど?」



「いや……今まで一度も話した事は無い……」



美優の言う通り、リナの口ぶりから明らかに自分の事を知っているし、なんなら世話になったとまで言っている。



ミィオと美優の二人が、自分の事を喋ったというよりは、



「?」



何をしているのかと、不思議そうにこちらを見ているリナに対して、自分が何かをしてあげて、顔を覚えられているというのが正しいかもしれない。



このRLHに何をしてやったのかと、脳お味噌をフル回転させて思い出そうとするのだが、



「…………」



「ちょ…ちょい待ち!?」



白衣の(すそ)を掴まれると、大型犬に引っ張られるかのように、こっちに来てとグイグイと連れて行かれてしまう。



「美優!!」



こいつを何とかしてくれと頼んでみるが、リナともう付き合いのある美優は、リナが変な事はしないと信頼しているのだろう、苦笑いして連れ去られる自分を見守っている。



「こっ…こらっ!?」



自分が知っているRLHは火内だけであるが、彼は、こんなにも力は無かった。



一口にRLHと言っても、こうも違うのかと驚きつつも、何とか手を離させようとするが、リナの思惑のままに美優の側から離されて、



「あの…ご迷惑でしたか?」



「うっ…いやっまぁ……まだ時間はあるから大丈夫だが……」



仔犬のように覗き込まれると、どう対応したら良いのか分からなくなる。



子供相手に話をするというのは、美優だけなのに、その美優は大人びて話をしてくれるから話しやすいのであって、こんな子供を全面に出されては、何をどう話したら良いのかとあたふたとしてしまう。



「色々として頂いたお礼をしたくて……」



「待ってくれ…その……間違いがあったらいけないから確認の為に、あたしの名前を言えるかい?」



「リディさんです」



「…………」



とにかく、話す相手を間違っていないか、相手が誰かと分かって話をしているのかと確認してみるのだが、名前を当てられてしまっては何も言えない。



「ちなみに名前を教えたのは誰だったかな?美優かい?それともミィオかい?」



「いえリディさんです」



「……そうだったか」



どれだけ記憶の棚を漁っても、リナと出会った時の事を思い出す事は出来ない。



自分がこの子に、こんなに好意を寄せられる事をしたのかと頭を痛め、



「すまない、美優を外に連れ出さないといけないんだ。今度また話をしよう」



「そうですか……分かりましたリディさん。また後日、お礼に伺います」



「あぁ、またな」



事の問題を先送りにする事が解決に向かわないのは分かっていても、今回ばかりは、うやむやに話を付けてしまうのであった。

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