ハブ酒29
「いや…嫌味を言うつもりじゃなくて……ぅっぅん……下級層の人間の情報というのは、書き換えるのは出来るが、中央のメインサーバーに触れないといけない。書き換えは出来るが、システムの知識は持っていないと厳しい」
話の腰を折りそうになったが、リディはグッと腰に入れ直して話を脱線させないように耐えると、話を元に戻す。
「あまりミィオに、関わらせない方が良いですか?」
「…………お前の目から見て、問題は良いんだろ?」
「そうですが……」
「時々聞かせて貰ってた話を聞けば、あいつが悪い奴じゃないというのは分かる……目を離さないようしてくれ……ただ、もしもの時は……」
「分かりました……」
美優は、鉄で出来た右手を握り締める……それは何かあったら、始末を付けるというのを躊躇わないという証。
「頼んだ……さて、そろそろ送らないとな」
「ごちそうさまでした」
「大した物じゃないさ」
空になったティーカップを受け取って机の上に置くと、美優の背中に手を回して椅子から立たせる。
母親のように優しく……とはいかない。
どこかたどたどしく、まるで年の離れた従姉妹のように、ぎこちなくも優しく外へと連れ出すと、
「リナ……?あぁそっか、あいつ軍人だもんな」
部屋から出た廊下の先に、リナがいる。
リナが軍学校に入学してから関係性も出来て、昔みたいにツバメから話を聞く人物では無く、自分の後輩という立ち位置にいる。
後輩のリナが、こんな所で何をしているのかと気にもなったが、あいつも軍人なのだから、何かしらの用があっているのだろうと、声を掛けずにそのまま立ち去ろうとしたが、
『トテトテ……』
立ち去ろうとした美優に気付いたリナが、こっちへと来る。
「…………」
「…………」
アイコンタクトでリディに、リナを相手して平気かと確認すると、リディは平気だと合図を返す。
リディにとってリナは赤の他人だが、これを機会に少し話を聞いても……
「あの……この間は、ありがとうございました!!」
「…………あたしか?」
美優とリナの話に耳を傾けようとしたが、なんとリナが話し掛けて来たのは自分であった。
「それで…頂いた物なんですが……事情があって捨てる事になってしまって……」
「ちょ…ちょっと待ってくれ!?」
「はい?」
「美優、ちょっと良いか」
「はい」
美優を連れて、リナと少し距離を離すと、
「お前達、あたしの事を話したのか?」
「そんな事は無いです」
何でリナが自分の事を知っているのかと、発信源を探る。




