ハブ酒24
本当は給湯室にあるコンロを使わなければならないが……リディは個室を与えられている研究員で、規律を重んじる兵士では無いから、見て見ぬふりで話は済む。
ケトルの口先から白い煙が立ち上るのを待ちながら、
「保存液か……普通に考えたらRLの標本でも作ってるのかと考えるけど……」
「他のですか?」
「あぁ…RLHかもしれないな」
「RLH?RLHは人類にとっての希望じゃないんですか?」
『コトコト……』
二人で話をしているとケトルから、水が沸騰する音と一緒に白い煙が上がる。
ケトルをマットの上に置いて、粉で作られた紅茶もどきをマグカップに入れてから、
「リディさん?」
一つは普通にお湯を注いで、合成ミルクを入れて、なんちゃってミルクティーを作ったのだが、もう一つにはそれにレモン風味汁を付け加えて、砂糖もぶち込む。
それは普段、決してしない組み合わせ方。
「ほらっ」
「はい……」
リディは、普通の合成ミルクティーを美優に手渡すと、もう一つの滅茶苦茶に色んな物を入れたカップを手にする。
リディも、いつもなら自分が手にしているミルクティーを飲むのだが……
「それって美味しいんですか?」
「いやぁ」
趣味嗜好が変わったのかと聞いてみると、その変な紅茶を口にした途端に、リディの顔が笑いながらも歪む。
「それだったら……」
それだったら何で、そんな変な物を作ったのかというのも聞こうと……
「RLHが二人いたら、片方は実験的な事をするだろうな」
「RLHが実験体……」
リディが持つティーカップを凝視してしまう……配分も何も無く入れられた事で、紅茶だった物にされてしまった液体……これがもう一人、RLHがいたらというどういう目に……
「リディさん……」
その時、美優の体が震える……自分が知るRLHは三人。
一人は自分の相棒であるツバメ、もう一人はツバメの妹分のリナ……それともう一人は、あの日に出会った焔の髪を持つ……
「あいつは死んだよ……」
「……実験体にされたんですか?」
「あぁ……」
「クズ共が……」
甘みを感じるミルクティーモドキを飲みながらも、美優は苦々しく歯ぎしりをする。




