ハブ酒23
しかしそれは、小此木を脅すために突き出したのではない、少しだけリナと話をさせて欲しいと尻尾を前に出したのだ。
「…………」
決してナイフの切っ先を突き出しての脅しではない、手を前に出して宥めているのだ……小此木は口を歪ませながらも、火内に任せると頷き、口を歪めたまま口を開くことなく閉じる。
「…………」
それに対して、火内も黙って頷き返す。
それから、卵を温めるかのように羽で包み隠している、リナに長い首を向ける。
「どうしても言えない?」
「…………」
火内の問い掛けにも、リナは返事も頷きもしない……だが、それでも火内は続ける。
「そっか……じゃあ約束して、困った事になったら、一人で解決しようとしない。みんなと一緒に解決するって」
「…………」
「リナが一人で行ったのか、誰かが協力してくれたのかは分からない……でも、僕達を騙そうとして平気だって言っていない事は分かるよ」
「…………」
「大丈夫なように、平気なように……問題にならないように、万全を期してくれたんだね……だけどさ、万全を期していも、僕達が思っている事以上の事が起きちゃうのは、地上の件で分かっているよね?」
「…………」
火内の寄り添う言葉に、リナは黙りながらも頷く。
「だから、もしもの時はちゃんと話して。一人で抱え込まないで……僕も、ミィオも……それに小此木だって……ね?」
「もちろんッス!!自分達は仲間スから!!」
「……当たり前だよ。三人だけじゃ解決出来ないでしょ」
「だって」
「うん……」
もう羽で隠してあげる必要は無いと、つぼみが花開くように羽を開いてリナを開放すると、
「小此木ごめん……」
「本当に何かあったら言うんだよ。黙って問題が大きくなったら、それこそ何が何でも吐かせるから」
「うん……」
小此木の怒り矛も収まり、少しだけキツイ注意をする。
「それじゃあ、学校に行こうか?」
事が収まったと、収まった事がぶり返さないように、火内は率先して学校に行こうとドアに手を掛けて、
「待つッス!!火内君!!今の状態で外に出ちゃダメッス!!」
「えっ?あぁ…そっか……」
「最近人間離れしてるスか?」
「かもしれない」
火内の微笑が、場を和ませるのであった。
________
「そっか……ミィオは問題無く学園生活を送れているんだな」
「はい、お陰様で無事に生活出来ています」
「それは良かった……美優の方はどうなんだい?困った事は無いのかい」
とある部屋の一室で、美優が女性の人と話している。
「まったく、問題ありません」
普段とは打って変わって、礼儀正しくも穏やかな口調が、話している女性が美優にとって、気心が知れた人でありつつも、目上の人として敬っているのが分かる。
「所でさっきの……」
「リナって子なら、特に問題になってないよ。どこから保存液を引っ張って来たのかは分からないけど、このままで大丈夫だろうさ」
「お手数お掛けします」
「良いって、ミィオの友達なら幾らでも骨を折るさ……それより紅茶を飲もう」
椅子から立ち上がって、小さな卓上コロンの方に行くと、
「リディさん、ありがとうございます」
白衣を着たリディが、小さな卓上コンロの火を付ける。




