ハブ酒20
自分からドラゴンである火内を感じたから、優しくしてくれたのかもしれないが、それでも、優しくしてくれたのは事実。
白衣の彼女に好意を抱き、白衣の彼女が誰なのか知りたいと名前を聞く。
「もちろん」
白衣の女性は、リナに笑顔を向けて向き合あうと、
『「リディ」』
「えっ……」
「どうかした?」
「いっ…いえ……それでは……」
白衣の女性こと、リディは名前を名乗ってくれた……のだが、何か違うのが聞こえた気がした。
(リディさんの声……でも何か……)
声が聞こえた……けれどそれとは違う……いや、声は一緒だった……声は一緒だったけど、何か違う聞こえ方がした。
あの声は何だったのか?そう思いながらも、ここから逃げ出すように帰ろうとすると、
「そうだった、最後に一つ」
リディに呼び止められる。
「最後に一つ?」
「ここの事は喋らない事、もしどうしても喋らないといけないなら、ハブ酒とでも言っといて」
「分かりました……」
「それじゃあ急ぎなさい」
「ありがとうございました……」
最後に短いお礼を伝えて、リナは走り出す。
来た道を走って帰る……リディがいた部屋……ドラゴンが保管されている部屋……思う事はあるが、それを考えている暇は無い。
「マズイ……」
軍の秘密の施設から飛び出すと、空が明るくなり始めている……このままでは、この黒いウェットスーツが目立つ時間になってしまう。
リナはまだ闇が残る路地裏に潜り込むと、急いで寮へと帰るのであった。
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そして話しは最初に戻る。
「これ……飲んで大丈夫なんスか?」
「リナ…これをどこから持って来たの?」
「地下層の方だよ」
それは答える事は出来ない、何せ軍の秘密施設に入り込んでしまったから。
「洗浄液じゃないスか?」
持って帰って来た青い液体。
それは多分だが、ドラゴンを保存するために液体……だが、
「違うよ、ハブ酒みたいな感じだったと思う」
ドラゴンの事を伝える事は出来ないので、言われた通りにハブ酒だと言う。
「いや……だからと言って」
火内は来週まで水は維持出来ると言ったが、それは潤沢にあるという意味では無い、ギリギリの中で何とかなるという意味で、喉は間違いなく乾いている。
「大丈夫だよ」
「待つッス!!」
「ダメだってリナ!!」
なので、リディさんが実演したように、これは飲んで平気なものだと、自分も青い液体に口を付けようとする。




