ハブ酒19
「あっ…うっ……ごめんなさい…………」
ドラゴンの瞳……彼女がドラゴンの事に勘付いたのは、ドラゴン同士で惹かれ合うモノがあったのだろう……それなのに自分は……
リナは彼女の首から手を離すと、罪悪感から逃げたいと『よろよろ』と後ろに仰け反りながら下がる。
「…………気にする事は無い。こちらが君を試すようなマネをしたのだから。それより……」
白衣の女性は、絞められた首を擦って潰され掛けた喉を整えると、手を出された事に一切の恨み事を言わず、
「実は、この液体は飲めるんだ」
「飲める……?」
彼女の手は、青い液体が張られたプールへと伸びる。
「あの……」
『ゴクッ』
「ハブ酒ならずドラゴン水という所か」
ドラゴンが漬かる青い液体を、手でお椀を作って掬い、口に付けると喉を鳴らして飲む。
それは、自分がこの液体を飲んだという事を示し、毒見をして安全だという証明で、
「飲んでごらん」
「えっ?」
リナも飲めると、またプールから青い水を掬って差し出して来る。
「その……」
「味は保証する……なんてな。無味無臭だから普通に飲める」
「でも……」
「そうか……だったら、さっき首を絞めた罰だ」
「うぅ……」
それを言われてしまうと逆らえない……毒見をして、安全を保障してくれているから、飲む事事態は大丈夫なのだろうが……
「さっ、ぐぐぐぃ!!っと」
「頂きます……」
彼女の手尺に口を付けると、青い液体を飲む。
「どうだ?」
「無味無臭です……」
確かに味は無味無臭で……青い事と、ドラゴンが漬かっている事がなければ普通の水。
「それならお土産に持ってお帰り」
「お土産?」
知らぬ間に彼女はポリタンクを持って来てくれたらしく、ポリタンクを何かの配管の所に持って行くと、
「ちなみにここから、ドラゴンの漬かっていない青い液体が汲める」
「なんでドラゴンの漬かった液体を飲ませたんですか!?」
「君を気に入ったから……さ」
リナの至極全うな文句に、白衣の女性は笑いながら応え、ポリタンクの中に青い液体を満帆に詰め込み終えると、そのポリタンクを手渡される。
「さっ、もうお帰り」
「帰る?」
「ここに泊まりたかったのかな?でも、そろそろ朝が来てしまうけど大丈夫かな?」
「いえ!!帰ります!!」
自分が侵入者だという事を忘れていた。
「来た道を戻るだけで帰れる。それとマスクを着けるのを忘れないで」
「はい!!」
マスクを被り、手渡されたポリタンクを胸に抱えると、そのまま部屋から出て行こうとしたのだが、
「あの」
「何か聞きたい事があるのかな」
「名前を聞いても?」
白衣の彼女の事が気になって振り返る。




