ハブ酒15
民間の施設に入り込むなというお達しには、自分達は逆らえない。
(敵の位置や、巡回ルートを調べるだけでも褒めてくれるかな……)
自分一人の無茶が、みんなに迷惑を掛ける……それが分かっているからこそ、強行手段に出られずに、街中を徘徊する。
工事現場付近の状況を調べて、敵の位置を調べて……このまま帰ろうとしていると、
「…………あれ?」
一か所、変な工事現場を見付けるのであった。
小此木に見せられた端末の中には無かった工事現場。
敵の見張りも居なければ、敵の巡回もされていない。
侵入してはいけない建物かと、警告のポスターを探してみるが、
「どこにもない……」
警告のポスターも何もない。
「…………」
ポリタンクを持つ、リナの手に力が入る……上級生の数が足りなくて、配備がされていない場所を見付けたのかもしれないと……
(残量は大丈夫……)
監視カメラに映らないように来ているウェットスーツのバッテリーも十分に残っている。
慎重に工事現場の中に入り込むと、
「誰もいない……」
中は造りかけの工事現場。
コンクリートの剝き出しの壁に床……配線が剥き出しのライト……殺風景な静かな場所ではあるが、
(着て来て良かった……)
侵入者対策に、監視カメラが所々に設置されている。
ウェットスーツを着ているお陰で、監視カメラを気にせずに、真夜中の誰もいない工事現場の中を歩ける。
造りかけのフロアを一目して、水が出るような所が無いのかと探し、造りかけの階段を上っては、次のフロアも同じように探索する。
そうやって何回も、何階も調べていると、
「あった!!」
作りかけの給湯室を見付けた。
どっからどう見ても流し台、どっからどう見ても蛇口。
ここは将来、給湯室になりますよと主張している場所に入り込むと、ポリタンクを流し台に置いて、蛇口に手を伸ばし……
『…………』
「水が出ない……」
蛇口をひねるが、水が出ない。
「…………っ」
これで分かった、ここがどうして警備の兵士が配置されていないのか。
「……はぁ」
『ポンッ……』
ポリタンクを投げ捨てると、軽い音がむなしく響き、ガッカリしたリナが地面にヘタれこむ。




