ハブ酒13
「向こうは人数を揃えて来てる。配置位置を調べて、巡回ルートを把握する。向こうもカメラとか用意しているだろうから、撮られても良い様に変装はする……特にリナと火内君、その赤い髪は一発でアウトだからね」
「フード被るから大丈夫だよ」
決して、油断して抜かるなと釘を刺しながら、今週末に備えてみんなで意識のすり合わせをし終えると、
「今日は、この位にしようか」
「そうッスね……また週末になったら話そうッス」
「そうだね」
「…………」
三人が話を終えるのと一緒にリナも席を外すと、各々が適当に時間を過ごし、
「そろそろ寝ようか」
この時間には絶対に明かりを落とすというになったので、ベッドの中に入り込み、
「それじゃ……」
「お休みッス……」
布団の中で小さく息をする。
こうして今日という日が終わり、次の日を跨いで朝を迎えたのだが、
「…………」
次の日を跨いで、朝を迎えるまでの僅かな時間に、リナが静かに体を起こしていた。
________
「…………」
三人の寝息に聞き耳を立てる……特に小此木。
小此木は、いつもふざけているが軍人……本気というか、その素の部分は学生とは違う。
小此木が神経を研ぎ澄まして寝ていたら、少しの物音で目を覚ます。
三人を起こさないように息を潜めて、みんなの寝息のタイミングでベッドから抜け出し、
『…………』
ベッドの下に隠していたバッグを背負い込んで、忍び足で部屋から出て行く。
「ふぅ……」
草木も眠る丑三つ時とはよく言ったもの、廊下は誰一人いなくて静かなのもそうだが、あの小此木ですら起きて来ない。
誰一人起こさないように静かに…静かに……廊下を素足で歩いて行き、一階まで降りると廊下の窓を開けて外に出る。
バッグを下ろして、中からウェットスーツのような物を取り出すと、パジャマを脱ぎ捨てるのだが、下着は着ていなかったらしく素肌を晒すが、
「よいしょ……」
それはウェットスーツらしき物を着るため。
ウェットスーツらしき物を着ると、リナの肌に張り付くように密着し、最後に、目出し帽のように頭をすっぽりと隠すマスクを被ると、人影のような姿になる。
「これでよし……」
明らかに普通では無い姿……これが一体、何なのかというと
「バッテリー残量も問題無し」
軍が保有している、特殊任務用のスーツであった。




