ドラゴンフライ20
あのオウムガイの怪物が逃げているのは、正面からやり合えば、こちらの方が勝ち目があるからで、オウムガイの怪物も、D兵器を払って追い払えるなら、襲ってきているはず。
人を襲って力を手にしたら、逆にやられてしまう……だからこそ、この時に追い払わないといけない。
『5号機聞こえるか!!この先には避難民がいる!!人が死ぬと、その怪物は力を増すという報告がある!!何としても仕留めろ!!』
『了解!!!!……っと、やってみるしかないか……」
通信で届いた指令も、あの怪物を今すぐ仕留めろという。
『ドゥルルルルルルル!!!!!!』
あえて狙いを定めずにガトリング砲を拡散させて撃ってみるが、
『おっとっとっとっとっ!!!!!!』
オウムガイの怪物はマナを感じ取って、建物の壁を登って避けてしまう。
「ちょこまかと!!!!」
『ドゥルルルルルルル!!!!!!』
建物の中に人はいないはずだから、ガトリング砲を撃つのを止める事無く、撃ち続けるが、
『おっほっほっほ!!!!!!ほっほっほっほっ!!!!!!』
オウムガイの怪物は、飄々と避けながら走り続けてしまう。
(当てられれば……)
当たり前の話だ……ガトリング砲で、オウムガイの怪物を足止めできれば、追い付けて、接近戦に持ち込める……だけど、それをする為の手段が……
「………………あれは?」
建物を撃ち、その瓦礫で何とか足止めをする事が出来ないかと、考えていた矢先であった。
建物を撃とうとしていたからこそ、先の方の建物の屋上に、人影が見えて……
「おいっ!!!?」
その人影が、飛び降りたのを見てしまう。
「何を考えているんだ!!!!!!」
D兵器の姿勢を維持させて、高度を上げると、背中のコクピットハッチを開放する。
距離で言えば間に合う。
コクピットに入った時に衝撃を抑える為に、上げた高度を下げるが、飛び降りた本人が、こちらの意思に気付けるかどうか。
コクピットハッチは羽と羽の間、ジェット推進機の前にある。
少しでも怯えて手足を振れば、風の影響を受けて羽にぶつかるか、ジェット推進機に吹かれてしまう。
こちらが全ての操作をするから、落ちて来る人は、何もせずに手足を広げたまま……
「手足を広げたまま……?」
手足を広げたまま、風の影響を出来るだけコントロールして、真っ直ぐ落ちてくれば良いのだが……それを落ちて来る人影はしている。
もしも身投げなら、頭から落ちてくるものだが、今落下している者は、こちらが拾おうとしているのを知っているかのように、バランスを取りながら落下している。