ドラゴンフライ18
『力が薄くなった体を移動すれば、お前を見付ける事は容易い』
そう、原人の目には視えるようになっていた、怪物のコアとなるモノが移動しているのが。
『ブチッ!!!!』
『ぐっ…離さんか!!!!』
ブドウの房を引き千切るように、怪物のコアを捕まえると、
『ブチュブチュグブチュ……………』
オウムガイの怪物は崩壊して、霧散していく……それは、悪夢から目が醒めるかのように、平穏が戻った事を告げている。
『さてと……』
原人は、自分が手にする『モノ』を始末しようとマナを溜める。
魂を焼き尽くす……世界に還って、誰かの欠片になってしまわないように。
『自分が何をしようとしているのか、分かっているのか!!!?』
『分かっていなければ阿呆だな』
怪物は震える、自分が消される事に。
『パチパチパチパチ…………』
怪物の魂を握る手に、小さな雷が走る。
『ただ長く生きた事を、永遠の命と勘違いした者の最期には、相応しいんじゃないか?誰かの欠片になる事無く、誰かの未来を導く標になれずに消滅する』
『忘れんぞ!!!!絶対など、この世界には存在しないのだ!!!!必ず、お前の元に戻り!!!!その体を!!!!魂を喰らってやる!!!!』
『バチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチバチ!!!!!!!!!!!!!!!!』
『『『『『グゥオゥゥッゥオォォオォオォォオォォォオオォォ!!!!!!!!!!!!!!』』』』』
怪物の最期の言葉を耳にした原人は、手の平に走らせていた雷を加速させて、焼き払うのだが、怪物の魂がブクブクと泡立ち、怪物の魂の中で眠っていたモノ達も悲鳴を上げる。
万が一の可能性も残さない、無慈悲な消滅、水が沸騰するように水蒸気になるような事は許さない、完全な無にする。
『『『『『ゥッゥオォォオォォォ…………』』』』』
呻き声が弱まっていくのを聞きながら、ゆっくりと手を握り締めていき、
『これで、お前は終わりだ』
完全に手を握り締めると、怪物の魂は消滅した。