ハブ酒11
無味のような時間だったはずなのに、知らないうちに時間は過ぎていた。
「露は……」
「溜まらないね」
「ありがとう……」
「気にしなくて大丈夫だよ……鳥かごの中は、地上と違って空調が管理されてるから、露は溜まらないのかもね」
「うん……」
「さっ、晩御飯の準備しなきゃ」
火内の体に露は溜まる事は無かった。
火内は人間の形態に戻ると、しょんぼりするリナを連れて部屋へと戻る。
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「それで、露集めする為にドラゴンになったんだ」
「本当に便利な体ッスね」
「食材を消費するに丁度良かったよ」
あれからリナが料理するのを手伝い、小此木とミィオが帰って来てから全員でテーブルを囲って食事にする。
「それでどうだった外は?」
「みんな探してるッスね、水を奪える所を」
「水制限は名物みたいな物だけど、あんまり派手な事をしてバレると滅茶苦茶に怒られるんだよね。懲罰房にぶち込まれるから」
「派手な事スか……あっ!?この時期に水道管が破裂する問題って!?」
「そうだよ、夜のうちに抜け出して、地面掘り繰り返して大事に……」
「…………」
リナはみんなの会話を蚊帳の外で聞く……何も出来ていない自分……みんなと違って空っぽな自分が、みんなの会話に口を挟むのはおこがましい……
ここまで来れて来ているのは、三人の尽力のお陰……もしも自分がいなければ、三人に迷惑を掛けてしまっていて……
「野菜スープ……飽きちゃった?」
「そんな事ないよ!!美味しいよ!!」
しょんぼりとしてスプーンの進まない事に、心配されてしまう。
火内の努力のスープ。
水気のある野菜で水かさを増やしつつ、塩気も人間に必要な分を計算し、だけど塩を取り過ぎて喉が渇かないようにと、まるで理科の実験をしているかのように綿密に気を払った上で、
「もし飽きたら言ってね、他の料理も考えるから」
「飽きないよ……」
みんなを気遣っている。
食事が終わり、ラップをゴミ箱に放り込むとテーブルにまた座り直す。
「手洗いの手間が省けて楽だ」
「これからは食器にラップするスか?」
「そうしたいけど、お財布が泡拭いちゃうよ」
「洗剤を使ってないのに?」
「ははっ、そうだよ」
「…………」
食事を終えてこれから楽しい団らんの時間……と洒落込めたら良いのだが、
「それじゃあ、そろそろ話をしようか」
「うん」
「了解ッス」
小此木が端末をテーブルの上に置くと、三人は端末に集中する。




