ハブ酒104
『ギィィイイィィギギギチィイチチチチチチチチ………………』
互いの「力」が、ぶつかり合った瞬間から、ドラゴンの白銀の光が削れてしまう。
金メッキが削れるように、無地のドラゴンの肌が露わになってしまう。
『ここまでのようだな』
『所詮は、偽りの霊能者という事』
紫の雷を防ぎ切れないドラゴンに、怪物は、さよならの言葉を投げ掛ける。
霊力を補給する術が無いドラゴンに、この状況を打開する方法は無く、このまま殺されるのは時間の問題で、
『どうやら、我々が消えるよりも先に、キサマが息切れをするのが先だったようだ』
『はぁ……はぁ……はぁ……』
怪物の言う通り、ドラゴンは持てる力を振り絞っている。
白銀の光が削られて、元のドラゴンに戻っていき……
『パッッッ……キィィィィィィィイイィ!!!!!!!!!!!!!!』
闇夜に、一際甲高い音が鳴り響くと同時に、白銀の光が砕けて散らばると、青いドラゴンが堕ちていく。
『終わったな……』
力を失ったドラゴンは、無気力に地上へと堕ちていく。
『喰らうか』
『喰らおう』
両肩に浮かび上がった顔が、それぞれに舌なめずりをし、
『今以上に強くなってしまう』
残された龍の首が、呼応して紫の涎を垂らす。
余程、ドラゴンの漬けられた保存液が甘美で、ドラゴンの肉がスイートであったのであろう。
落下して来るドラゴンが、地上に叩き付けられて、柔らかくなるのを今か今かと待ちわびる。
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(……出来るだけの事はやった)
(はい……)
それは二人にしか聞こえない会話。
(君の眠るドラゴンの力を無理矢理に目覚めさせたが、すぐにでも、また眠ってしまうだろう)
(はい……)
それは、体の中で眠っていたドラゴンとの会話。
(私の目的は、亡き友との約束を果たす為)
(自分は、また友と会う為に……)
ドラゴンの体は地上へと落下していく。
(そうだ、その願いはいつか、私の願いと混ざり合う)
(はい……)
貰った霊力を使い果たしたドラゴン……だが、ドラゴンの瞼が動く。
(これは、せめてもの礼だ……使うと良い)
(あなたは消えるのですか?)
(君の中の私は消えるが、私の欠片はまだある)
ドラゴンは少しだけ笑った。




