ハブ酒9
地上育ち……それだけ聞けば、地上なのだから水源は潤沢に確保されて困る事は無いと思っていたが、
「それは間違った考えッス。辺境とかは水道管なんて無いスから、給水車が来るのを待つんスけど、それじゃあ足りないスから、RLや野生動物がいるかもしれない所を、命懸けで水を汲みに行くんス。自分はまぁ……恵まれた方だったスけど、それこそ村でなんて、雇っている傭兵を連れて行く位には重要な資源なんスよ水は」
水に対しては自分達以上に苦労をしていたらしく、自分達のように完全なルール違反をしていないのに関わらず、水が制限されているこの状況で平然としている。
「そろそろだと思うんだけどな……」
補充される水よりも減る量が多い……だが、それは何も自分達だけの話ではない、周りも一緒。
そろそろ、周りも水が足りなくて何かしらの行動を始めるはずで……
「やっぱり水が足りない?」
「うぅん…今日の食事どうしようかなって…水を飲みに来たんでしょ?コップ出すよ」
考え事をしていた頭を切り替えて腰上げ、コップを出そうとすると、
「あのね…これを見て欲しいの」
「見て欲しい?」
リナが、おもむろに端末を差し出すので、何事かと見てみると、
『こちらのモロクトカゲは、砂漠地帯に住むトカゲです』
「トカゲ……」
そこにはアンキロサウルスみたいな、トゲトゲしたトカゲが映し出されている。
自分自身がドラゴンだからか、最近では爬虫類に対して親近感が沸くのだが、
『体から生えている突起物であるトゲに水滴を集め、その水滴を体を伝わせて口にまで運びます』
「へぇ~珍しいトカゲもいるもんだ…ね……」
沸いた親近感よりも、強く悪寒が沸く。
画面から目を離して、横にいるリナに目を合わせると、目をキラキラと潤ませたリナがいて、
「……まさか」
「火内君、ドラゴンじゃん……」
「これをするなら、屋上で網を張って……」
「そんな露を溜められるほど、目の細かい網なんて無いよ」
「そんな事を言ったら、ドラゴンだってトゲは無いでしょ」
「でも角もあるし、羽もあるし……」
「それは雨露を溜める物じゃないって」
「どうしても……ダメ……?」
「………………一時間だけだよ」
「ありがとう!!」
リナの状況を考えれば、出来る事はしたいという気持ちは理解出来る。
二人は部屋から出て屋上に上がり、誰もいない事を確認してから、
『メキメキメキメキメキ……』
ドラゴンの姿に変わる。
「それじゃあ……」
「その前にリナ、約束して」
「約束?」
リナに持たせた水筒を指差し、
「例え、僕の体に水滴が付いたとしても体に触らないこと、間違っても舐めないこと」
水滴が自分の体に付いたとしても触れずに、その水筒の水を飲むように忠告する。




