表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/119

空へと

「至急!!至急!!RLの襲撃!!至急!!至急!!RLの……!!」



『バギッ!!』



「ぐぇ⁉」



それは、ほんの一時の戦い。



人間という古い器に閉じ込められた生命では、RLHに対抗など……特にマナを正しくその身に宿せるようになった者を相手にして、パワードスーツを着用していない人間が勝てる訳が無い。



『…………』



指令室の中に転がる、いくつもの死体。



雷鳴化した自分には他愛の無い作戦。



単身で敵の基地に入り込み、敵の指令室を叩く……その後は……



『こちら鳥かご!!何があった!!』



最後の兵士は受話器を取っていたが、それは鳥かごへと直通する回線だったのだろう、鳥かごのオペレーターが、何事かと連絡を返して来る。



『…………』



声を発せられない体では、この通話を止める術はない。



『どうした!!返事をしろ!!』



このまま放置していては痺れを切らして、周辺の基地に連絡を取られ、敵の応援を寄こされてしまうが、



『…………』



慌てたりしない。



『パサパサ……』



代わりに喋ってくれる、この鳥がいてくれれば話は違う。



色とりどりの喋る鳥の中から、最も彼に近しい青い色を持った鳥を貰った。



頭を指先で軽く撫でてから喉をくすぐり、自分の思っている事を、青い鳥に念じると、



「RLの襲撃を受けています、RLを掃討してから輸送機を出すので、予定時刻を後程伝え直します」



自分が思った言葉を代わりに喋ってくれる。



『了解した……が、これは緊急用の回線だ。以後は、通常回線を使うように』



「申し訳ありません」



回線の向こうにいた相手は、用事が済んだ途端に通話を切った。



「緊急用の回線……RLの襲撃が緊急では無いか……」



敵ながら現場で戦わない者というのは、気楽というのか……



「彼等なら……」



『…………』



そこで青い鳥の口を優しく塞ぐ、その先はお喋りが過ぎる。


予定通り指令室の制圧を終えた……後は、用意された段取り通りに進むだけ。



基地全体に放送を掛ける為、マイクに青い鳥を近付け、



「緊急事態が発生、周辺でRLの群れが発見された。スクランブル班は、所定の場所に出撃。上官は作戦室に集まり、その他の者達は、いつでも出られるように宿舎にて待機せよ」



これで良い……これで空へ行ける。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ