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城崎温泉への旅行 ~城崎温泉にて①~

 由紀江(ゆきえ)優子(ゆうこ)は城崎温泉駅に到着した。

「うーーーん、ずっと座ってたから疲れた。」

「でも楽しかったです。」

「そうだね。」

 ほとんどの人が城崎温泉で駅の外へ出ていく。一部の人は鳥取方面への乗り換えの列車に乗っていくようだ。

 由紀江と優子は人混みがおさまってから、改札を通り駅舎の中に入った。

「観光地って感じだね。」

「いろいろありますね。」

 由紀江と優子は駅舎を出て、何とも賑やかそうな町を見た。

「ここが駅前通りですね。」

「そうだね。とりあえずどこか昼食取れるところ探そうか。」

 そうして昼食を食べられそうな蕎麦屋に入り、昼食をとった。

 こうして旅先で食べるものというのはどうしてこんなにも特別おいしく思うのか。それは高揚した気分がそうさせるのか。優子にとってはそういうことが初めてだった。由紀江の手料理とはまたジャンルが違う特別感だった。同じ食事なのに、どうしてこうも違うのか。どちらかがおいしいとか、特別だとかそういうのではない。両方ともおいしくて特別。そのジャンルというかカテゴリーが全く違うものだと。優子は食事というものは不思議なものだと思った。

 昼食をとった後は、道沿いを歩いて見て回った。

 優子はその風景を興味深そうに見渡していた。

「どこか入りたい店ある?」

 由紀江は優子に聞いた。優子は

「ん…、とりあえず、街中を見て回りたいですね。」

「そうだね。じゃあ奥まで見て回ろうか。」

 二人は駅前通りを行き、川沿いの柳通りについた。

「いや~、二回目だけどやっぱりいいね、ここの雰囲気は。」

「温泉街って感じですね。」

「うん、これが夜になるとまたいいんだよね~。」

 由紀江はそう言いながらスマホで写真を撮った。すると優子もそれに倣って、自分のスマホを取り出して写真を撮った。

「あれは雑誌で見ました。地蔵湯ですね。」

「よく覚えてるね。」

 二人は地蔵湯の前まで行って、少し様子を見てからまた柳通りを歩きだした。

「あとで来ようね。」

「はい。」

 二人は柳通りの奥まで行った。歩いている観光客も多いが、意外と車の往来もそれなりにある。

 土産屋は開いている。二人は土産屋に入ったが、鞄が邪魔だったので、後で宿に置いてからでもいいかなということですぐに出た。

 次は湯の里通りを歩き始めた。ここには温泉街らしい店や土産屋、そして高級そうな大きな旅館などが軒を連ねている。

「へぇ~。」

 由紀江はそんな高そうな旅館を横目に見ながら、どれくらいするのだろうかと考えながら歩いた。優子は終始周りを見渡してそわそわしているようだ。

「優子ちゃん、こういうところに慣れてない?」

「はい、全然慣れてません。」

「まあ、私も慣れてはいないけど。なんかそわそわしてるね。」

「そうですか?」

「うん、楽しんでくれてるならいいんだけど…。」

「はい、楽しいです。」

 優子は楽しんでくれているらしい。表情には出ないが、そう思ってくれているのなら何よりだと由紀江は思った。

 湯の里通りが突き当りに出た。

「確かあっちにロープウェイがありましたよね。」

「そうだね。乗ってみる?」

「あの…。」

「?出すよ?」

「なら乗らなくていいです。」

「なんで(泣)」

 優子は先ほどの昼食代も由紀江が出したことに申し訳なさを感じていた。その部分は今も変わらない。きっとこればかりは何度やっても優子の心は変わらないだろう。だが今回も由紀江は食い下がらない。由紀江は今回の旅行は優子との思い出にしたかった。そんな旅行で年下のまだ年齢的には高校生の優子に負担を負わせるなんてできないと思っていたからだ。

「乗るよ!優子ちゃん!」

 由紀江は優子の手首をつかみ、連れて行こうとした。

「え…。」

 優子は連れていかれないように腕を自分の方に引いた。

「わわ!(力強っ!)」

 由紀江は普通に力負けして優子の方へ倒れ掛かった。優子はそれを受け止めて、由紀江の肩を支えた。

「…。」

 優子は無言で由紀江を支えて見つめてくる。少し距離が近すぎる。由紀江はなんだか不思議と恥ずかしくなり、すぐに立ち直って。逆に優子の二の腕を両方横からガチっとつかみ。

「行くよ!」

 といって、無理やり優子を連れ出した。

「由紀江さん…。」

「いいの。これはもう旅なの。私はこれに乗って上まで行きたい。優子ちゃんとね。旅は道連れ!」

「そんな勢いよく言われても…。」

 そうして優子は半ば無理やり連れていかれた。料金は、由紀江はかたくなに出すと言って、出した。

 二人はロープウェイに乗った。

「わ…。」

 ロープウェイが動き出すと、優子が小さな声で少し驚きの声を発した。

「こういうの初めて?」

「はい。」

「こわい?」

「いえ、怖くはないですが。もし何かあったらどうしようもできないというのは確かに。」

 そうこう言っているうちに登っていく。

「すごいですね。」

「ね、乗ってよかったでしょ?」

「はい。」

 優子はその景色にくぎ付けになっていた。

 頂上に着いたら、展望台に行った。鞄を持っているので、まだあまり行動範囲は広げられないが、こうして展望台にいるだけでも十分来た価値がある。

 優子はしばらく見渡して、温泉街のあたりや川のあたりをじっと見た後、由紀江の方を見て、

「ありがとうございます。」

 といった。

「ん?」

 と由紀江が言うと、優子は

「すごくいいところですね。」

 といった。

「そうでしょ?」

 しばらくその景色を見た後、またロープウェイに乗って下まで行った。

 そのあと、チェックインの時間になったので宿へ向かった。


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