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旅行前日

「おはよう優子(ゆうこ)ちゃん!」

 由紀江(ゆきえ)は元気だった。もう疲れが取れているようだった。

「体力ありますね。というか回復早いですね。」

 優子は由紀江の体力回復の早さに少し驚いた。やはり社長はこうでないと続けられないものなんだなとも思った。

 明日は旅行当日だ。仕事はなんだかんだ言っても、そんなに仕事量が残るような感じでもなかったので、一安心した。

 それでも、とにかく今日一日何事もなく仕事を遂行するように努めた。

 ここで何か起こると面白いのかもしれないが、特に何も起こらず、金曜日が過ぎ去った。

「お疲れさまー。今日も私は早く上がるよ。」

「わかりました、それまで待ってます。」

「え、いやいいよ。先帰ってれば。」

「わかりました。」

 優子も毎回のように監視するのはまずいと思ったのか、この場は素直に由紀江に従った。

 由紀江は、今回優子が素直に従ったことはほっとしたが、でも優子はいつも素直に従ってくれるのに、なぜほっとするのかを少し考えた。

 由紀江は優子が帰った後すぐに支度を済ませて、三階へ帰った。

 優子はいつも素直だ。でも時々頑固だ。その頑固になる時というのは、そうか、そうだ。いつもそれは決まっていた。由紀江はやはり、優子のことを大切にしなければならないなと改めて思った。


 由紀江は前日から用意していた一式を鞄に詰めて、先日取ってきた切符を確かめ、予定の電車の時間とか、宿の時間とかを確かめ、すべて同じ場所に置いて、寝る準備をした。

 優子との旅行。それはきっと、これからの優子との関係を構築するためには、なくてはならないものとなるだろう。


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