優子の寂しさ
優子は仕事の帰りに、平和堂へ寄った。
三階まで行き、調理具を物色した。というのも、今の物では料理がかなり限られるので、もう少し増やしたいと思ったからだ。そうは言っても今のままでも一人暮らしなら相応とも言えた。果たしてこのまま一人暮らしを続けるかもまだ未定であるので、それなのに、料理の幅を広げたい、一度に料理できる種類を増やすために調理具をかうというのは、どうしたものかと悩んだ。だからといって、それを由紀江に言って一緒に来てもらうと、また買ってあげると言われるかもしれないし、買ってもらいたいということかと思われるかもしれないと思ったので、由紀江には話していない。
いろいろと物色した後、少し冷静になって、やっぱり今はいらないやと思い、その場を後にした。
エスカレーターがある吹き抜けを覗いた。平和堂の吹き抜けの二階部分には、今やっている映画のポスターが掲げられている。優子は映画も見たことがなかった。特に見たいとも思わなかった。
いつもは休日に由紀江とくることが常であったから、一人で来ると、少し物足りなさというか、寂しさにも似たような気分になった。
さっき由紀江と会社で会っていたのにもかかわらず、また会いたくなってきた。
たまには一人で来るのも確かに良い。でも一人で来るとやっぱり由紀江と来たくなる。以前の金ヶ崎宮の時と同じ気持ちだ。
由紀江と過ごして二か月がたった。その二か月のうちにここまで由紀江の存在が常となっていたのか。いまだにあの時、由紀江の家で肩を寄せ合って、由紀江に体を預けて手を触れていた時の温もりが忘れられない。
結局優子は何も買わずに平和堂を出て、そのままアーケードを通って、自分のアパートに帰った。
自分以外誰もいない部屋。由紀江の家だったら由紀江がいる。今は一人暮らし。誰もいないのは当然。
優子は、早く明日にならないかなと思いながら、寝るまでの時間を過ごして、悪夢にほんの少し怯えて眠りについた。




