とある平日の仕事場
「次何をやりますか。いや、そろそろ自分で考えて動くべきでしょうか。」
由紀江は優子のその言葉に驚いた。そんな社会人の鑑みたいなことを…、と。
「そうだとものすごくうれしい。というか、優子ちゃん、もう今でも教わったことは自分からやってくれてるじゃん。」
実際優子はかなりできる。教わったことなら、これが終わったら次はこれ。このタイミングではこれ。と、自分で判断して仕事をしている。しかし、今回のように本当にすべてが終わってやることがなくなったら、由紀江に聞くようにしていた。そこから何をするか自分で考える…?それはよく言う理想の社員か。
「優子ちゃん。経営者の中にはね、確かにそれを求める経営者もいるよ。でもね、今の優子ちゃんが私は一番の理想だと思うな。自分の仕事は自分で考えてやれる。でもそれが終わったらほかの人に何かないか聞く。そうやってチームワークはできるものだよね。何でもかんでも自分で考えろは、私は違うと思ってる。だから優子ちゃん、そうやって聞いてくれるのは私はありがたい。…。語りすぎちゃった…。」
「そうなんですね。わかりました。では今まで通りやります。」
「うん、お願いね。じゃあこれ手伝ってくれる?」
「はい。わかりました。」
由紀江は思った。
(本当は、言われたことを完璧に素早くこなすだけでも十分なのに。優子ちゃんは既にこの領域にいる。すごいなぁ。)
優子は淡々と仕事を進める。由紀江はその様子に感心していた。自己主張もない、アピールするわけでもない。忙しそうな様子も見せず、疲れた様子も見せない。ただ淡々と。あまりにもかっこよすぎた。
「できる女。」
由紀江はうっとりしながら小声でつぶやいた。
「はい?」
優子は由紀江の方を見て言った。由紀江は慌てて、
「おおっ、聞こえてたかな⁉」
「なんか聞こえました。」
由紀江は優子の耳がいいこともこれで分かった。何もかも完璧。そんな優子に、由紀江は見惚れるばかりだった。




