プロローグ
かつて、この日本には数多くの特殊能力者がいた。
しかし、勝原智也という誰も敵うことのできない能力を持ったものによって、大量に能力者が殺された。彼は「特殊能力」そのものをこの世から亡きものにしようと考えていた。その方法が、能力者を片っ端から抹殺することだった。
その末に、この日本からは多くの能力者が亡くなってしまった。
ただ、その勝原智也は、その途中で、かつての仲間であった者たちに、虐殺を阻止され、終いにはそのかつての仲間たちに殺されてしまった。
かくして、大量虐殺者「勝原智也」はその生涯を終え、極悪人として語り継がれていった。
勝原智也に殺された者の遺族や友、仲間たちの多くはその恨みを消すことはできなかった。そしてその遺族たちの中には金のにおいをまとわりつかせた怪しい団体に取りつかれ、引き込まれる者もいた。
そしてその事件が終わってから三十年後。
勝原智也の弟の娘がその団体や政府の特殊部隊から狙われることになる。
勝原優子。勝原智也からしたら姪にあたる。優子は勝原智也との面識は全くない。優子が生まれた時にはすでに勝原智也は死んでいた。
しかし、勝原家であるものは、すでにこの優子しかいなくなっていた。優子の父、つまり勝原智也の弟は既に亡くなっており、優子の母も小さいころ亡くなっている。
勝原の家の者である唯一の存在である優子は、その境遇から、勝原智也へ恨みを持った者たちの恨み憎しみを一身に受けることになった。