(01-00)始まりは
(01-00)始まりは
「んっ?あら何かしら、背中に何かあたった?」
振り返ってみると、そこには二つのエネルギー型生命体らしき物が浮いていた。
一つは、ややくすんでいるものの、まぁまぁ生命力の残滓が残っているもの。
一つは、光り輝き『まだまだこれからだっ』と言わんばかりのもの。
もっとも、肉体からは既に離れているので、生命そのものではないのだが。
「どこから来たのかしらねぇ…ん〜と、あぁ、あれかぁ〜」
そのまま見上げると、遙か彼方ながら地球世界を司る輪廻の輪が見えた。それはやたらと混み合っているようで、大きめなのは白黒黄色、はてはブラウンとも見える光の塊、小さめなのは黒やら茶やらとその流れはなかなかカラフルであった。
「流石ねぇ〜、生命過多なだけはあるわよねぇ、輪廻の速度も尋常じゃないわね。で…弾き出されちゃったのかな〜? 大変だったわねぇ〜」
塊を抱きかかえるように取り込む、女神?様。それが女神なのかどうなのか定かではないが、ひかり輝く人型っぽい存在である。
「困ったわねぇ、元に戻してあげる事はできないのよねぇ、あの速度だからねぇ〜。ん〜と、どうしようかしら。このままじゃいずれ消滅しちゃうし、そうだこっちの世界に来てもらったら良いかしらね、っていうかそれしかないわよね」
どうやら、元の流れに戻す事はあきらめたようである。
「ま、いっかぁ〜。どうせ御魂洗浄剤で洗っちゃうし。そうしたら、地球から来たなんて覚えているわけ無いしね。もらっちゃいましょう。あちらの創世神様には、後でお知らせしておけばいいわよね」
なかなか適当な事を宣っているのだが、どうやらこれでもこちらの世界の創世神であるらしい。
「と言うことで、早速。え〜『主神様〜』い。えっ? なぁ〜に」
頭だけ向ければ良いものを、体ごと声がした方に向けたものだから、ほーら。
「あっ! 主神様そちらは…御魂乾燥機にございます」
「えっ?」
「も、も、も、申し訳ございません。お仕事中にお声がけしてしまいましたぁ〜」
「あ…」
『あ…』ってなんだ『あ…』って。何をした。どうも御魂洗浄機ではなく、御魂乾燥機に送ってしまったらしい創世神。
「え…え〜とぉ〜、だ…だ…だ…大丈夫じゃないかしらぁ〜? た…たぶん?」
「た…たぶんで御座いますか?」
「そ〜よぉ〜、ほ…ほ…ほ…ほらまだ乾いていないし、周りに濡れればすこし位綺麗になるんじゃないかしらぁ〜」
「…」
なにやら二人とも落ち着きがなくなっているようだけれども、もしかして洗浄されずつぅ事はだ、記憶…残ったままなんじゃ。魂としてはソフトに仕上げられるものの、生前の履歴その他は、浄化されずにほぼ残ったまま?
「えへっ!」