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第84話 船に乗り込む

「……という事があったのです」

「うわぁ……」


 女神の話を聞いてドン引きするリリィ。


「うわぁ、とはなんですか。別に私が彼に何かしたわけじゃありませんよ」

「なるほど、あの復活劇の真相はそういう事か」


 黒炎団の首領のレイスも魔王によって死なない不死身の力を得ていた。


 俺達が倒したコーストも同様の力を得ていたのが理由ですぐに復活したということだろう。だが女神はその力をどうやったかは知らないが無力化出来たらしい。


 結果、コーストは力を得た反動で生命力を削って瀕死の状態……まぁ、自業自得だな。


「あの人も魔王のチカラを借りてたんですね……」


「この調子だと他の黒炎団の幹部たちも似たような状態だと考えた方がいいかもしれませんね」


 カルミアちゃんの呟きに女神は推測を交えつつ頷く。


「しっかしアンタ結構えげつねえことするよな。力を奪えばそうなる事は分かってたんだろ?」


「ええ」


「まぁ魔王なんかと組んでる奴に情けは無用って事なんだろうが、アンタは一応神様なんだろ。人間相手なんだから多少は慈悲を与えてやらないのか?」


「私がそんな善良な神に見えますか、砕斗?」


「いや、全然」


 俺は軽く笑って返事を返す。


 流石に付き合いが長くなったのでこの女神の性格はある程度把握出来てる。良くも悪くも親しみやすい神様だが、悪人に対して慈悲を与えるような神じゃない。


「……で、アイツは放っておけば死ぬのか?」


「いえ、軽く脅しましたがすぐ死にはしないでしょう。生命力は著しく低下しているのでしばらくは病人の様な状態でしょうが……」


「まぁアイツはどうせ今回の事件の真犯人として裁かれるから一緒だろーがな」


 城の兵士や囚人を何人も虐殺したのだ。当然の報いだろう。


「まぁこれでレガーティアの一件は解決ってわけか」

「ええ……」


 俺の言葉に女神は神妙な顔で頷く。カルミアちゃんもリリィも事件が解決したというのに浮かない顔をしている。


「……」


 理由は明白。今回の事件は犠牲が出てしまったからだ。そして黒炎団の連中が健在な限り、俺達が行く先々で同じような事件が起きないとも限らない。


 ……だが、こういう考え方も出来る。


 今回の事件が明るみに出て黒炎団が危険な存在だという事が知れ渡れば、レガーティアだけではなく他国も動くかもしれない。そうなれば俺達の黒炎団壊滅の目的に協力してもらえる可能性も高まり、犠牲になった人達の為にもいずれ報われるだろう。


「ま、確かに不幸はあったが事件を解決出来て良かったと思う事にしようぜ。俺達もこうやって無事だったしな」


 俺は自分で口にした言葉だが、それが正解のような気がしていた。


「サイトさん……」

「……うん!」


 カルミアちゃんとリリィも俺の意見に同意を示すように頷く。


「……では、ここからは気持ちを切り替えて行きましょうか」

「おー、そうだな」


 そうして、俺達は目的の港町へと急ぐのだった。



 ――そして馬車で移動する事1時間程で港町へと到着した。



「さてと、俺達の話は通ってるんだよな」


「はい、国王様の話によると、港に国の船が停泊しているので行けばすぐにでも出航できるそうです」


「そうか、じゃあ早速行こうぜ」


 俺達は頷き合って真っすぐに港へと向かう。

 そして、そこで停泊していた一際大きな船の元へとたどり着いた。


「お、あれか」


 俺はその船の甲板に立っている人物を目にして呟く。


「城の兵士さん達が見張ってますね」

「では早速」


 女神が率先してその見張りに話しかける。


「御苦労さまです。私達、レガーティア国王の命によりアステア大陸へと渡る為に来ました」


「あなた達が……! それでは貴方が勇者カルミア様ですか?」


「いえ、私ではなく後ろに居る茶髪の少女です。……カルミアさん、挨拶を」


「は、はい!」


 カルミアちゃんは弾かれたように肩をピクンとさせて前に出る。


「勇者カルミアです。よろしくお願いします!」


「随分とお若いですね……分かりました。船の中に部屋を用意してあります。そちらで少しお休みになってください」


 見張りはそう言って船の中に入るよう促す。


「ありがとうございます!」

「それではお三方もどうぞこちらに……」


 俺達は言われるがまま、船の中へと入った。

ここまで読んでくださってありがとうございます。

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