第04話 美少女と城内デート! クソ女神は永遠に口閉じてろ!
4回目の初投稿です。
前回のあらすじ。
頭がバグってる女神様の指示で王城の中を探索してたら、バグで床が抜けて落ちそうになったところを美少女に助けてもらった。
「それでサイトさんは、どうしてこんな所に?」
カルミアは不思議そうに首を傾げて僕に尋ねる。
彼女にとっては普通にしてるつもりなのだろうけど、僕からしたらその仕草が堪らなく可愛い。
……って、悶えてる場合じゃない。答えないと……。
「えっとね、城内に異常がないかパトロールしてたんだ」
「異常ですか? でも城内は兵士の皆さんがしっかりがっちりガードしてるから問題なさそうだけどぉ……?」
ぐ……そう言われたら反論できねぇ……。
だけど、ここで頷いてしまったら、ただ城内をウロウロしてただけの不審者に思われてしまう……!
かといってデバッグの事を説明しても理解してくれそうにない。
僕は何とか彼女が納得しそうなそれっぽい言い訳を考える。
「……そうだ、思い付いた!」
「え、なになに?」
「えーっとね。カルミア……ちゃんって呼べばいいのかな?」
「うん♪ 呼び捨てでも、ちゃん付けでも、何ならサマ付けでもいいですよっ♪」
「じゃあ、カルミアちゃん」
「はい!」
「実はね、少し前に王様と謁見してこの国のお姫様が魔王に浚われた事を聞いたんだ。カルミアちゃんはそのことを知ってた?」
「なんとぉ! 全然知りませんでした!」
僕の説明にカルミアちゃんは驚いたような反応を見せる。
よし、この調子で……!
「それでね。姫様が浚われた時もここの兵士さん達はちゃんと警護してたはずなんだ。なのに警護を掻い潜ってあっさり姫様が浚われてしまった……これってどういうことだと思う?」
「え?えーっと……」
「つまり、魔王は何らかの手段を使って兵士達に気付かずにお姫様を浚ったんだと僕は考えてるんだ。カルミアちゃんも僕が落とし穴に落ちそうになったのを見てたでしょ。多分、この城の中にはああいう魔王が仕掛けたトラップが仕込まれてるんだよ」
「ふむふむ……なるほど……」
よし、ちょっと苦し紛れ感はあったけど納得してくれそう。このままあと一押し!
「おそらく、それを利用して魔王はお姫様を浚った。僕はそれを確信してこの城内を調べ回ってたんだよ。あ、でも他の人に言っちゃダメだよ。パニックになるかもしれないから」
「な、なるほど……サイトさん、頭いい!!」
「えっへん!」
よし、何とか誤魔化し切った。
ついでに僕が不審な行動を起こす言い訳も出来て一石二鳥だ。
「でもお姫様が誘拐されたことまで知ってるって……サイトさん、もしかして凄い人なんですか!?」
「え?いや……はは……そ、その……」
やっば。適当に見栄張ってそれっぽい事を言って誤魔化そうとしたけど、これ以上何も思いつかん!
……いや、待て。
今、事実はどうあれ、僕は城下町を救った『勇者』扱いを受けてるんだぞ。
ならばここは勇者らしく堂々と……!
「じ、実は、僕……勇者、なんだよね」
「え!?」
カルミアちゃんは驚いて目を見開いた。
うんうん、皆こういう反応するよね。っていうか僕自身『勇者』の意味全然知らないし。
僕の世界だと『勇者』って単に勇気のある人って意味なんだけど、この世界の人達の反応を見るに特別な意味があるっぽい。
「サイトさん、勇者なの?」
「え、あ、まぁ……城下町の人からもそう言われてるし……!」
やばい。なんかどんどん墓穴掘ってる気がする。
勇者とか名乗ってるけど全然弱いし、バグ剣使ってそれっぽいことしてるだけだし。
あとでバレたらどうしよう……。
「ふわわー!凄い凄いー!!」
カルミアちゃんは目を輝かせながら僕の手をとると、上下にぶんぶん振った。
やば……超可愛い……。
もしかして勇者って名乗れば他の女の子からもこんな風に尊敬されるのだろうか。
いいなぁ勇者……これからも勇者名乗ろうかな……。
『ぶふっ!』
「!?」
突然、脳内に誰かが吹き出すような声が聞こえてきた。
もしかして……バグ女神様?今まで何も言ってこなかったのにいつから戻ってきてたんだよ。
『クックックッ……!あ、ごめん。笑ってないです』
いや、絶対笑ってたろ。このクソ女神め!
「ん? サイトさん、どうしたの?」
「あ、いや何でもないです」
「???」
いや、頭の中に寄生するクソ女神は今は無視しよう。今はこの子だ。
何とかしてこの子を口説いて……じゃなくて、この子を味方につけなければ!
「というわけで、僕はもうちょっと城内を回るつもりだよ」
「そういうことなら、私も手伝います!」
カルミアちゃんはそう言って楽しそうに手を挙げる。
「え、いいの?」
「はい!こう見えても私、結構強いんですよ!」
カルミアちゃんは腰に差した剣を見せながらドヤ顔で胸を張る。うーむ……めっちゃ可愛い。
特に戦力が必要なわけじゃないけど、手伝ってくれるならそれも有り難い。
「ありがとう、じゃあ一緒に城内を回ろう!」
「はい!」
こうして、僕はこのカルミアちゃんと一緒に城内を見回ることになった。
……よし、この間に彼女と交流を深めて、ちょっとでもお近づきになろう。
今までよりちょっと短めです。
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