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元不良の社会人が異世界の勇者と旅をする話  作者: ノノノ
第一章 異世界に拉致られる
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第03話 真のメインヒロイン来た! 女神様要らねぇ!!

今日も今日とて初投稿です。

なんだろうね、初投稿詐欺ってなんか意味あるのかな。

気になる人は某先生にでも聞いてみてください。

 ――それから数日後。


 僕は、王様からそれなりの支援金を頂いて城下町の一角にある家を借りることが出来た。


「よーし、これくらいで良いかな」


 誤解されているとはいえ、勇者として名前が広まった僕は、城下町の人からも声を掛けられるようになった。そのお陰で色んな人から不要になった家具などを貰って生活環境は大分充実した。


 支援金を使って身なりも整えて冒険者のような鎧や装備を購入したし、これで以前のように不審者とは言われないだろう。


『ひとまず、地盤を固めることは出来ましたね。こうなればこの城下町を拠点として仕事に取り掛かれるというものです』


 バグ女神様は多少安堵したような声色でそう言う。


「仕事って言いますけど何をすればいいんすかね?」


『当然バグ修正ですよ。まず城下町にあるバグを全部取り除くのです。バグを残していると先の影の化け物のようにまたバグが悪さを働く可能性があります。なので、今後は毎日、一日の内に直せるだけ直すのです』


「なるほど……で、具体的な案は?」


『とりあえず城壁に壁抜けバグが残ってないか確認から始めましょう。とりあえず1マス残さず頭突きして――』


「おい待てふざけんな。んなことしたら僕の頭が変形して死にますって」


『じゃあ城壁に向かって体当たりでも構いませんよ。当たり判定さえ確認出来ればいいですし』


「まず僕の身体を犠牲にする案止めてください。っていうか、女神様はバグの波動?ってのが分かるんでしょ? それを使えばいいじゃないですか」


『ちっ』


 おい、今舌打ちしたぞ、このバグ女神様。


『波動を感じ取るのは難しいんですよ。ある程度こっちでバグの場所を絞ってからでないと正確な位置までは把握出来ないんです。それに、目的の建物や建造物が大きすぎて目視で見つけることが出来ない場合もありますし』


「じゃあ、どうするんですか?」

『……地道に探すしかないですね』

「この広い城下町をですか!? 流石にそれは無茶過ぎますって!

 ……あ、良い事思い付きました。この街の上だけ雨を降らせてみれば分かるんじゃないですか? もし壁抜けが出来る場所があれば雨水が壁を貫通して流れてくるのが分かりますし」


 僕がそう提案すると、バグ女神様は数秒黙り込み、若干不機嫌そうな声色で頭の中に声が聞こえてくる。


『……あのですね。上空に雨雲を呼び寄せて雨を降らすのがどれほど手間がかかると思ってるんですか?』


「え、出来ないんすか。神様のクセに」

『……(怒)』


 ……あ、しまった、つい。

 こんなでも一応神様だし、怒らせるとヤバいんじゃ……!?

 慌てて今の言葉を弁解しようとするのだが……。


 次の瞬間、空に一瞬光が差し込んだと思うと、数秒遅れて凄まじい雷鳴音が響き渡る。

 そして、数秒後に地面が揺れ始めて大粒の雨が地面に降り注ぎ始めた。


「……お、おお……凄い。天候を自在に操れるなんて、流石女神様ですね! 」


 さっきの失言を誤魔化すように、ちょっと大げさに褒めたたえる。

 すると、怒気が少し収まったのかバグ女神様の声色が僅かに変化する。


『ふん……まぁ、私が本気になればこんなものですよ』


 姿は見えないが、バグ女神様が向こうでどや顔決め込んでる姿が目に浮かぶ。


「ほっ……」

 僕はなんとか機嫌が直った女神様の様子に安堵して息を漏らす。

 と、同時にこう思った。


 しかし、この神様、案外チョロいな……。

 上手く使えば、仕事も結構楽に終わらせられそうだ……と。


 が、考えてる事を見抜かれたのか、女神様の声が再び僕の頭に響く。


『何を考えてるか知りませんが、雨が止む前にさっさと仕事にとりかかってください。前にあげた修正用ツールを壁抜けバグの場所に差し込めば、ツールがバグに反応して修正が入ります』


「なるほど」


 僕は以前に貰った剣に擬態した修正ツールを手に取って外に出る。

 雨は降っているが、傘があれば問題ないだろう。


「えっと、じゃあ行きますか。雨具の用意もしましたし」

『ええ、頑張ってください』

「……はい」


 この女神様、肝心な仕事は全部こっち任せかよ……。


 最初は普通に綺麗な女神様だと思ってたけど、こっちに来てから一度も姿を現さないし、割と毒舌だし、意外と身勝手だし……。


 一応サポートはしてくれてはいるけど、もう少しこっちを労わってくれてもいいと思うんだよなぁ……。


 心の中で愚痴を零しながら、僕はひとまず言われた通りに雨の中、城壁のバグを修正しに回る。壁抜けバグを見つけると剣を取り出して壁に向かって何度も勢いよく差し込む。


「おりゃ、おりゃ!!」


 雨の中、ひたすら壁に向かって剣を突き入れる勇者の図。どうみても不審者である。


「こんな土砂降りの中で何やってんだ……アイツ」

「あの人、数日前に城下町で話題になった勇者様だよな? 何かの儀式でもしてるのかね?」


 そんな兵士達の声が聞こえてくる。

 おい、誰か儀式なんて言った奴後でしばくぞ!

 いや、逆にシバかれそうだけど!


「はぁ……はぁ……」

『お疲れ様です』


 それから数時間かけて10ヶ所のバグを修正し、ようやく家に戻ってくる。


「あの……こんな面倒臭い事をこれから毎日続けるんですか?」


『まぁ、この城下町と王城のバグを全て取り除いたら別の場所に向かう事になりますけどね』


「えっ、まだ続くんですか?」


『当然です。この世界は広いですからねぇ。それに、貴方は一応この国の中では”勇者”という事になってますから、どのみち近いうちに「魔王を倒しにいけ」だの「姫を助けに行け」だと催促してきますよ』


「うう……なんで僕がそんなことをしなきゃいけないんだ……!」


 僕の役目は魔王を倒すことじゃなくて、バグを修正する為にやってきたというのに……。


『正直、あんなことになるのは私も予想外でした。一応、この世界に”勇者”の存在は他に居るはずなんですが……どうやら、その勇者はまだ到着してないようですね』

「え、じゃあ勇者が来るまでデバッグ作業は後回しにすれば良かったんじゃ……」

『……まぁ、そういう考えもありますね』


 絶対、言われるまで気付かなかっただろ。この頭バグ女神様。


『まぁ本物の勇者が来れば誤解は解けますよ。それまで適当に勇者っぽい振る舞いをしててください。誤解されている間は王城への入場もフリーパスですし、それまでに仕事を終わらせれば仮にバレて追放されたとしても問題ないですからね』

「女神様は良くても、僕の方は問題大ありなんですが……」


 まぁ、いいか。誤解さえ解ければ勇者の真似事ともおさらば出来る。期待してくれている城下町の人には悪いけど、魔王と戦うのは僕の仕事じゃない。本物の勇者が来るまでここの作業は終わらせて、勇者が来たら面倒事が起こらないうちに夜逃げでもして次の目的地に向かえばいいだろう。


『さて、では次の仕事です。王城に向かってバグが無いか探しに行ってください』

「嫌ですよ!? さっきみたいな行動を城内で繰り返したら不審者そのものじゃないですか!いくら勇者扱いされてても限度があるでしょう?」

『おや? もし宝物庫に壁抜けバグがあればお宝取り放題ですよ?』

「うっ……それは……」


 宝物庫に壁抜けバグがあれば、誰も触ってない新品の高そうな武器や防具が手に入るかもしれない。


「……っていうか、女神様がそんな事言っていいんですか?普通に犯罪行為じゃないですか」

『え?』

「え?」

『ばれなきゃ犯罪では無いのでは?』

「……本当に神様なんですよね?」

『ええ。女神ですよ? 今は貴方から見えないでしょうが、私超美人ですし? 女神として十分な貫禄ありますし?』


 おいおい、この頭バグってる女神様。

 見た目が可愛けりゃ何やっても許されると思ってるタイプか?

 確かに前見た時はスタイル抜群な金髪美女だったけど。


『部下からも、「いつも綺麗で若く見えて羨ましいです」って褒めちぎられますし?』

「へー」


 女神って部下とかいるんだ……案外人間みたいな縦社会なのか……?


「……ん? 今、『若く見える』って言いませんでした?」

『あ』

「女神様っておいくつなんですか?」

『う、うるさいですね!さっさと仕事に行ってきてください!!(怒)』

「あっ!? あ、ちょっと!」


 強引に通話を切られてしまう。あのバグ神様、何歳なんだろう……。


 女神様の応答も無くなったし、仕方なく僕は王城に向かう事にした。



 ◆◇◆



 王城に向かった僕は、挨拶してくる兵士達に勇者っぽい態度で接しながら城の中を探索する。周りは僕が本当に勇者だと思い込んでいるようで、どの部屋に入るのも止められることがなく申請無しで王様への謁見も可能だ。


 とはいえ、ボロを出したくないので極力人と会うのは避けたい。


 結果、人通りの少ない通路を選んで壁に手を当てながら壁抜けバグが無いか探していたのだが。


 ある程度奥に入って、人通りの少ない通路の床を歩いていた時――


「え」


 突然の足が床をすり抜けて自身の身体が床の中に沈んで行く。


 やばっ……!?


 そう思って僕は手を伸ばして必死にもがこうとする。

 しかし、誰かが助けに来るわけでもない。


 ダメだっ……!


 そのまま僕の伸ばした手は虚空を掴み、僕の身体は床の下のブラックホールに吸い込まれてしまい……。


 ガシッ!


「……え」


 そこで、僕の伸ばした手が誰かに掴まれた。


「大丈夫!? 待ってて、今引き上げるから!」


 女の子の声だった。

 そして、僕の身体は腕を掴んだ人物によって引き上げられる。


「あ、ありがとうございます……」


 お礼を言うと僕は立ち上がり、その少女の姿を見る。


 その少女は見た目15~18歳くらいで身長は大体160センチくらい。艶やかな茶色っぽいブロンドの髪をセミロングくらいに伸ばしており、宝石のような緑の瞳。


 彼女の額には如何にもな銀色の髪飾りを付けており、その中心には赤い丸い宝石が嵌め込まれおり、上下は質の良さそうな緑の布地の服の上に、銀色の軽い鎧と太もも辺りを守るプロテクターを装備していた。


 肩当てからは足のスネ辺りまで届く青いマントを羽織っており、腰辺りベルトも付けており腰には小さな剣も携えていた。雰囲気的にボーイッシュな感じで全体的に細身だが胸当ての部分は、彼女が女性であることをアピールする膨らみがしっかりとある。


 僕と視線が合うと彼女は、「危なかったねー」と言いながら笑顔をこちらに向けてくる。


 うわこの子、めっちゃくちゃかわいい……。


 強い意思を感じさせる緑の瞳に、その整った顔立ちはどんなアイドルでも裸足で逃げ出すのではないかと言うほどに整っており、天使のような笑顔とアニメ声優ともタメを張る可愛らしい声に、僕の心臓がバクバクと高鳴り始める。


 そして、今更ながら彼女の手が僕の掌を掴んだままだと気付き慌てて手を離す。


「た、助けてくれて本当にありがとう」

「いえいえー。でも、本当に危なかったねー。安全なお城の中にこんな凶悪なトラップがあるなんて私も知らなかったよ」

「トラップ……」


 彼女に言われて、背後を振り向き僕は今しがた引っかかった床に視線を落とす。僕は床を踏もうとしたのにまるで何も無かったかのように僕の足が床をすり抜けて落ちそうになった。


「……もしかして、バグか?」

「え、バグってなぁに?」


 彼女は不思議そうに首を傾げる。


「あ、いや……その……」


 まずい。つい口走ってしまったが、どうやかこの世界にはバグという概念が無いようだ。


 バグとは、本来プログラムの不具合や欠陥などを意味する言葉なので、見た感じ中世ヨーロッパのような雰囲気のこの世界では、存在しない概念なのかもしれない。どう説明をしようか迷うところだが、その前に目の前のバグを修正しなければ。


 そう思い、僕は鞘に納めていた剣の形をしたバグ修正ツール。略して”バグ剣”を取り出し、僕が引っかかった床に突き刺す。すると……。


 ――不具合を検知しました。バグ修正プログラムを作動します。


 頭の中で機械的な声が響き渡り、剣を中心とした床周囲に一瞬四角いマス目が浮かび上がる。そして、そのマス目に次々と数式やバグ検出のメッセージが次々と浮かび上がっては消えていく。


「……!?」


 目の前の光景に彼女は驚いたような表情を浮かべている。まぁ現地人の彼女には無理もない反応だ。


 やがて、全ての数式の表示が消えてバグ修正プログラムが終了すると床のマス目が消失し、元通りになった床が現れる。


 念のために足で踏みつけてみると、今度はちゃんと床の感触があり足が沈むことも無かった。


「よし、これで大丈夫」

「あ、あのぉ……」

「ん?」

「今の……なに? 何をしたの!?」


 彼女は驚いた様子で僕に質問してくる。

 その目はキラキラと輝いており、彼女の好奇心が伺える。


「えーっと……(どう説明しようか……そうだ!)

 これは僕の愛剣でね、さっきみたいに目に見えないトラップとかを解除する能力があるんだよ」


「へぇー! すごい武器なんですねー!」


 なんとか誤魔化せたようだ。しかし、あんな光景を見てそれで納得してくれるとは。


 この世界はRPGみたいなファンタジーのようだし、もしかしたら魔法みたいな特殊な武器も存在するのだろうか。もしそうならこの反応も納得できる。


「ところで、キミは?」

「あ、自己紹介忘れてましたね。私はカルミアって言います!」

「僕はサイト。よろしくお願いするよ」


 そう言って、僕と彼女は握手を交わした。

一応、続きを書いてみましたが……3話目なのでそろそろヒロイン的な立ち位置のキャラが必要かなと思いテコ入れしてみたのです。でも、この話にヒロインって要るのかな?


出来れば、評価と感想、それにいいねをしてくれると嬉しいです。

作者が死ぬほど喜んで夜6時間しか眠れなくなります。是非よろしくお願いします!

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