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Disposition  作者: 秋元智也
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8話

豪華な屋敷の一角で創作意欲に火がついた人物がいた。


坪内宙だった。

予想以上の収穫に、今まさに新しい作品が生まれようとしている。


男におっぱいがついていた?

そんな事はどうでもいい。

立ち去っていく後ろ姿を眺めながら視線はただ、ひたすら尻に注が

れていたのだった。


弾力もあって、柔らかすぎず形もいい。


持ち主が男であっても、そんな細かい事はどうでもいい。

理想の尻に対して細かい事はどうでも良かったのだ。


「おい、今日は学校行かないのか?」

「圭か?今日は休む…今いいところなんだ。俺のミューズはやっぱ

 り最高だ」

「ふ〜ん…それなんだけどさ〜…」

「ん?なんだ?後にしてくれるか?」

「あぁ…分かった」


宙のこんな真剣な顔は久しく見ていなかった。

本当に気に入っているのだろう。

幾島は男だ。

それは分かる。分かってはいるが、あの形といい、触り心地とい

い、これまで見て来た女子とは段違いの美しさにもう一度触れて

みたくなる。


「俺も…俺のミューズにしたいんだけどな…」


宙を置いて自家用車に乗ると学校へと向かった。

昨日は流石に自分でも反省していた。


いきなり脱がしておっぱいに顔を埋めて頬擦りしていたのは不味

かった。


目を覚ますタイミングが悪すぎたのだ。

今日はちゃんと話そうと教室に行ったのだが、彼は来ていなかっ

た。

そして、昼になっても来ない。


寮で暮らしているはずだ。

なのに、学校にでない理由といえばやっぱり…


「裕樹〜ちょっといいか?幾島ちゃんは昨日どうだった?結構怒っ

 てた?」

「んー?昨日保健室に行ったんじゃねーの?寮には宙が会いに行っ

 たはずだぞ?」

「宙が?………」


圭は次の授業が始まるのも無視して教室を出た。


「おい、坪内〜今から授業だぞ!」


後ろから先生の声が響いている。

自由奔放な彼を止められる人など、学校にはいなかった。


寮へ来たはいいが、どの部屋かわからなかった。

今はみんな授業で誰もいない。


食堂をチラリと横切るとちょうど幾島の姿を見つけた。


「お!よかった〜!いくし…ま…」

「…っ」


目があった瞬間、まるで汚物でも見るような顔で坪内圭を睨んで

きた。


「昨日は悪かったって。それでさ〜俺の…」


手を差し伸べるとすぐに叩き落とされてしまう。


「触らないで下さい。あんな気持ち悪い事を寝ている人間にするよ

 うな変態と関わりたくないですから」

「待てって、昨日はごめんって!それでさ〜」


「ついてこないで下さい警察呼びますよ?」

「ただ話したいだけだろ?それにお前のその身体…」

「!?」


一瞬幾島の顔が歪むのを見ると言葉に詰まった。


「最低だ…こんな早く出てくなんて…」

「おい、それって…」


何を言っているのかわからなかった。


「お前さえいなければ…せっかく入ったのに…」

「出てくってどういう事だよ?学校辞めるのか?」

「当たり前だろ!誰のせいでっ…」

「やめるな!俺は、幾島とまだ一緒に居たい!」

「はぁ?」


坪内圭も必死だった。

こんな出会い滅多にない。


ここまで理想のおっぱいの持ち主、逃すわけには行かない。


「俺は、幾島が欲しい。」


腕を掴むと自分の方に引き寄せていた。胸に当たる固い感覚。

しっかり巻かれたサラシのせいだろう。

しかし、その中にはあの柔らかいおっぱいがあると思うとたまらない。


「離せっ、このっ…変態野郎がぁ!」


一瞬呆けてしまっていたのが悪かった。

顎の下から思いっきり腕が振り上げられると脳震盪を起こして意識が

途絶えていたのだった。

食堂に放置するのも悪いと思ったのか部屋に運び込むと一応腕を拘束

しておいた。


目が覚めるまで放置すると、やっと起きたのか坪内圭はまだ状況が把

握できないでいた。


「おはよ、それで?僕になんの用だったわけ?それとも脅しにでも来

 たつもりか?」

「脅す?何をだ?それより、これを外してくれないか?」


平然という目の前に男に幾島は呆れたように上から見下ろした。


「僕の身体の事言いふらす気だろ?冗談じゃない。僕だって好きでこ

 んな身体に産まれたんじゃないんだ!普通に男の身体で産まれてた

 らこんな苦労は…」

「羨ましいじゃん?どっちもあるんだろ?俺なら嬉しいけどな〜。そ

 のおっぱいめっちゃ触り心地良かったぞ?女なんかと比べもんにな

 らないくらいに綺麗だぞ?」

「お前…人の話聞いてたか?…僕は」

「その身体が嫌なんだろ?でも、仕方ねーだろ?ならさ、俺にさ幾島

 をくれよ!触りたいんだ!そのおっぱい大好きなんだ!」

「…?」


変態じみた告白に顔色が真っ青になっていく。

男に対していうセリフじゃない。


「お前…キモい奴だな…」

「俺は自分の気持ちに素直なんだ。俺の創作意欲はそのおっぱいにかか

 ってるんだ。今の女もイマイチだが、変わりがいないから仕方ないっ

 て思ってたけど、幾島がいればそれで解決するんだ!俺の元に来い!」


幾島がゴソゴソとなにか分厚い本を取り出して来ると坪内圭の股の間に

来た。

そして目の前に膨らんでいる場所に向かって一言呟いた。


「これ…潰してもいいよな?」

「…!?」

「うん、潰そう!世の中の女子の為だ!」

「いや、待て!マジで待って!絶対に幾島には手を出さないから!マジ

 で潰さないで!」


悲痛な叫びが部屋にこだましたのだった。


そしてやっと解放されると、幾島に逆らわないという条件で見せるだけ

という契約をしたのだった。


「触っちゃダメか?」

「気持ち悪い、ごみ虫、変態…」

「せめて舐めさ…」

「やっぱり潰すか?」

「いや、いいです……」


部屋で見るだけという契約でお金も入り、しかもお互い学校では距離を

おくという約束を交わしたのだった。



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