6話
部屋に帰るとスマホに触れてさっき見た画像を見てみた。
ラコールというピンクのハートが何個も浮かんでは消えるホー
ムページには下着の女性が多く乗っている。
ブラジャーとショーツだけを身につける女子に見覚えがあった。
教室で見た女子だった。
自分のところに戻ってくると自信を持って言っていた女子だっ
たのだ。
「これが…ミューズ?」
確かに、ブラジャーの色や形にピッタリあっていると思った。
お尻を突き出してポーズを決める女性はショーツの伸縮性もよ
く綺麗な形をと宣伝している。
宣伝通りにヒップラインが綺麗だった。
「やっぱり変態じゃん」
年度を重ねる毎にモデルが変わって行く。
これは、女子を変えた時なのだろう。
身体もそうだが、ネットに顔出しというのはいいのだろうか?
本人も了承しているのだろうか?
これには、明らかに変態が見たら危ないようなきわどいものば
かりだった。
次の日には球技大会前とあって、授業も多少早めに終わった。
「幾島くーん、今暇だよね?」
「暇じゃない。それにあのネットのどうなんだ?顔出しって危
ないだろ?」
「なに?見てくれたの?嬉しいな〜、だったら話は早いや!や
ってよ?モデル!」
「嫌だ。断る!」
「そう言わないでさ〜、やってくれたら謝礼金も出るよ?」
「…謝礼…金?」
「そう、気になる?」
金銭的に苦労して来た幾島にとっては、少し興味がある話だっ
た。
が、この身体の事がバレればここにもいられなくなる。
それだけは避けないといけなかった。
「…興味…ない」
「そんな事ないだろう?興味あるだろう?一回の撮影で5万払う
よ?1時間!触らせてくれたら〜追加で3万出そう!」
「8まん…いや、断る!」
心が揺れているのを見透かされている気がする。
球技大会当日、幾島の活躍によってバスケはいいところまで来て
いた。
休憩で暑さを我慢しながら休憩に教室へと寄るとそこでは女子と
丁度お盛んな坪内圭が遊んでいる最中だった。
飲み物を取りに来たのに入れずに迷うと出て行こうとした。
「来ないのか?混ざってもいいぞ?」
「…」
教室の中から気づいたのか坪内圭の声がしたが、無視してでてき
た。
そのまま次の試合へと出た。
試合終了のホイッスルと同時に意識を失って倒れ込むように幾島
は保健室へと運ばれたのだった。
暑い中、上下ジャージに誰かのせいで水分も取らずじまい。
それ以上にサラシを強く締めているせいで汗がこもって息苦しい。
重なるべくして倒れたというわけだった。
少し悪いと思ったのか坪内圭は保健室へと様子を見に来ていた。
「すいませ〜ん」
「あぁ、ちょっと待っててね〜」
保健医が出てくると手前のカーテンを閉めた。
「なんだったかな?」
「ここに運ばれた幾島ちゃんいる?」
「幾島ちゃん?幾島くんのことかな?」
「あぁ、そうそう。なんか顔可愛いからちゃんでいいじゃん。先生、
おっぱいでかいのに残念だな〜、タレすぎだし弾力無さすぎ〜」
「煩い!もう、帰りなさい。ここは病人が来る場所よ?」
「え〜ちょっと様子を見に来ただけじゃん?」
「知りません!」
前に一度寝たが、すぐに飽きて捨てたせいで少し当たりがきつい。
そこへ他の生徒が駆け込んできた。
「先生!来てください!」
「何!何があったの!」
忙しなく事情を聞くと鞄を持って出ようとして、少し悩んだ。
「圭くん、早く帰りなさい。病人以外は出て行きなさい。分かった
わね!」
すぐにさっき来た生徒と一緒に行ってしまった。
そこまで釘を打たれると、簡単には帰ってやらない。
それが坪内圭という男だった。
カーテンを開けるとそこには眠っている幾島がいた。
しかし、奇妙な事に布団の横に長い布が置かれている。
最初は包帯かとも思ったが、それっぽくない。
まるでサラシのようだと思うと、少し違和感覚えた。
前に幾島に触れた時に胸板が硬かった。
普通男子でもあそこまで硬くはない。
その理由がサラシを巻いていたのなら頷ける。
そしてサラシなんて巻く理由など、早々ない。
布団を剥ぎ取ると胸の当たりがクッキリと凹凸ができていた。
「マジか…」
シャツをまくり上げると綺麗な形の乳首に谷間が現れる。
今まで見て来たどのおっぱいよりも形も弾力もあった。
手で包み込むと、手に馴染むように吸い付き肌触りも悪くない。
「最高だろ…」
女子の乳首にはみんな揃いも揃ってつぶつぶがあったが、それも
ない。
使い込まれていない。
誰にも触られた事のないような綺麗な造形美をしていた。
もう、たまらないと言わんばかりに何度も揉むと顔を埋めた。
その瞬間微かに声が漏れて幾島と目があった。
胸に夢中になっていて気づかなかったが、これは歴とした犯罪だった。
「何をしている?」
「いや…こんなところにおっぱいがあるから揉んであげようかと…」
「この変態野郎が!」
幾島の拳が思いっきり坪内圭の鳩尾へと入った。
「お、お、お前…」
「これで許されると思うなよ…」
「お、女ならそう言えよ…男だと思っただろ?」
「僕は男だ。それに…これ、見覚えあるだろ?」
目の前に出された股間の中のものに一瞬目が止まった。
自分と同じものがついている。
「な、なんでそんなもんついてるんだよ!」
「だから男だと言っただろ?」
げんなりする坪内にとどめとばかりに幾島の蹴りが股間に決まったの
だった。