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Disposition  作者: 秋元智也
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5話

朝から眠気を覚ます為に顔を洗うとサラシをしっかりと締めた。


学生服に着替えると胸はしっかり締め付けているので硬く感じる。


「まぁ、こんなもんかな…」


日々の生活にも慣れて来た頃、学校行事の連絡があった。


「みんなも知っての通り球技大会がもうすぐあるぞ〜。クラス対抗

 だからお前らしっかりやれよ〜」


担任は体育系なのか一人だけ熱量が違っていた。


体操服は白く汗をかくと透けてしまう。

シャツは着ていても透ける危険性を孕んでいるだけに幾島には辞退

したいくらいだが、一種目は強制的に出なければならず、悩んだ結

果、バスケを選んだ。

無難でジャージ上下着ていても問題なく、体育館での種目だった。


「おい、お前暑くねーのか?」

「別に…」


初日からずっと坪内圭が絡んでくる事が多くなった気がする。


「おい、圭〜お前は何に出るんだ?」

「俺は…サッカーだな。」

「由美ちゃんも来るんだろ?」

「あ〜あいつはもう飽きたからな〜。今は…なんだっけ?」

「おい、自分の女くらい名前覚えておけよ〜薄情だぞ〜」

「別にいいだろ?どーせすぐに忘れるんだ…」


坪内圭は誰にでも興味がありそうで、なさそうだった。

本能で女を弄んでいるように見える。

だが、これは女子も同意の上らしいので文句も言えない。


「そのうち刺されろ…」

「なに?幾島ちゃ〜ん?羨ましいかったら俺の後で回してやろうか?」

「要らない…」

「なら、俺にも頼むよ!」


畑野の方が先に飛びついていた。


「あぁ、また後で呼んでやるよ。」

「おぉ、助かるぜ〜」


「最低だ…」


幾島は小声で呟くとボールを持ってコートへと入った。

運動神経はいいので、どうしても見た目以上に目立った。


「幾島ちゃん、上手いじゃん」

「だな〜、モテそうなのに、あの性格じゃ〜な〜」


いつも笑顔で笑っていれば女子がほっておかないだろう。

だが、いつもは睨みつけるように厳しい目つきに、気付けば勉強して

いる姿しか見ていないので近寄りがたいと思われていた。


抜き打ちテストをやっても、完璧に答えられる幾島に誰もが一目おい

ていた。


「あいつ、人生つまんね〜だろ…」

「そうだな〜、圭がせっかく女を紹介してくれるって言うのにな〜」

「どうしてあんな奴がいいんだかな〜」

「ん?誰が?」

「ん〜、あいつだよ。宙の奴が幾島を自分のミューズにしたいんだと」

「へ〜珍しいな?男だぞ?」

「うん…そうなんだけどな〜」


どうしてもそんな気がしないと直感が言っている。

圭も薄々思ってはいても、決定的な判断がつかなかった。


「あいつって本当に男…だよな…?」

「あぁ、それな!俺も思った。でもさ〜この前便所行った時に一緒に

 しょんべん行ったけど、ちゃんと付いてたぜ?アソコにさ」

「ふ〜ん」


言いたいことを理解したのか興味なさそうに視線をずらした。

女子と目が合うと坪内はにっこりと笑った。


目があって喜ぶ女子に手を振ると、きゃっきゃと喜びこっちへと向か

って来た。


「坪内先輩〜、私達…実は〜」

「いいよ、昼に体育倉庫来れる?」

「はい!」


二人の女子は嬉しそうに頷くと帰って行った。


「お前な〜」

「お前もくればいいだろ?」

「お!マジ?行く〜」


批判を言おうとした畑野はすぐに言葉を飲み込んだ。

授業中なので、クラス中に聞こえている。

これは観客が多いかもしれない。


体育倉庫といえば、裏には窓があって電気をつけてくれれば丸見え

だった。

1年の女子達は知ってるのか分からないが、観客有りの見せものに

される事になったのだった。


これを聞いていても先生は誰も注意すらしない。


これが金の力なのだろう。

これがもし、首席の生徒だったら先生も口を出すのかもしれないが、

普通の生徒達な為に、金持ち優先にされるようだった。


授業が終わると、みんなぞろぞろと出て行く。

今から覗きに行くのだろう。


「呆れた…」

「君は行かないのかい?」

「またあんたか…しつこいんだけど?」


横で声がすると、坪内宙が来ていた。


「圭は自分のミューズを探しているんだよ。まぁ、俺には君がいるけ

 どね!」

「断ったはずですが?」

「そんな事を言わないで少し見ていかないか?」

「何を…」


断ろうとすると目の前にスマホの画面を見せられた。

そこには派手な下着を来た女性が乗っている。


下着の通販らしい。


「女子の下着が好きなんですか?変態ですね…」

「違うよ。これは俺らがやってる通販会社だよ。これを見てどうだい?

 きゅっとしたお尻にレースが映えて見えるだろう?きっと君にも似合

 うと思うんだ。どうだい?履いて見ないかい?」


一瞬、引いた…


男に女子のパンツを履かせようなど変態としか思えない。


「やっぱり…へん…」

「ちがーう!今度は男の下着を作ろうと思うんだ。色っぽい下着は女子

 だけのものじゃないだろう?それに…幾島くんなら、どんな下着も似

 合いそうだからな〜」

「やっぱり、絶対に嫌です!」

「頼むよ!女子のお尻だと限界があるんだ!君の尻は弾力といい、触り

 心地が最高なんだ!」


どんなに褒められても、頭のおかしい人でしかない。

毎日くどいくらいに、口説いてくる。

いつも、いつも、辛辣な言葉で追い返しているが、めげないこの男が、

マジでウザかった。




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