入学編(I)
月日は流れ私立第3魔法学園の入学式に参加していた。
「えー皆さんには、、、」
校長らしいおじさんが長々とスピーチをしているが、今の俺の状況からしたら恐怖でしかない。訳もわからず勝手にこの学園に入学させられているのだから。魔法とか使えないんですけど、、、
校長のスピーチがおわり、自分のクラスに移動する事になった。クラスの周りを見渡すと、ここは本当に日本ですか?と言いたくなるぐらいに、金髪や、赤髪の人達が沢山いる。
俺が自分の席で固まっていると、担任の教師みたいな人が教室に入ってきた。
「えーと、担任の近藤だ、まぁ何でもいいから自己紹介でもやれ」
何と適当な男だ、若干寝癖とか立ってるし。担任がそう言うと左端の机の男が指さされ、自己紹介が始まっていく。
「佐藤隆です。えっと、得意魔法は風魔法です。皆さんよろしくお願いします」
え?得意魔法とか言わなきゃいけないの?待て待て魔法なんて使えないぞ。そんなことを考えていると、どんどん自分の順番が迫ってくる。
そして、自分の番が回ってきてしまった。
「時藤悠馬です。えっと、、、得意魔法とか以前に魔法が使えません」
俺の自己紹介が終わると、周りのクラスメイト達は驚いた反応をする奴や、不審者を見る様な目つきでみてくる奴がいた。
「貴様!魔法の才能もないのにこの第3魔法学園に入学した?貴様の様な分不相応な人間はこの学園から出ていけ!」
金髪のイケメンが突然立ち上がり、俺に出ていけと言い出した。出て行けるのなら是非お願いしたいね。
「俺も出て行きたいのんだけど、ここ以外に受かった高校がなくてさ、仕方なく入学したんだよ。まぁ、お前みたいに人にいきなり怒鳴りつける様な奴には、あまり言われたくないけどさ」
金髪イケメンは額に青筋を浮かべて俺の方をみていた。あ、余計な一言を言ってしまったみたい。
「貴様ァァァ!」
金髪イケメンは俺の方に手を向ける。すると、その手から炎の球が俺に向けられて飛んできた。
突然の出来事で驚き、俺は腕でガードする様に守ろうとした。いつまで経っても俺にぶつかる気配がないので、周りを見ると、、、
「お前らな、いきなり魔法とか打つのやめろよ、怪我したら俺の責任なるだろ。」
黒板の横で座ってた担任の近藤が気づいたら俺の目の前になっていた。
「あと、斎賀、一般人に魔法を使えばどんな結果になっていたか分かるよな?それと、時藤、お前も煽る様な言い方するんじゃないよ」
担任の近藤はそれだけ言うと自分の席に戻っていった。
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さっき斎賀が放った魔法は障壁を張らない一般人に当たっていたら火傷ぐらいは負っていた。だが時藤は魔法が使えないはずなんだが、あいつ魔法が当たる寸前、高密度の障壁をやってやがった。
あれで魔法を跳ね返されていたら、斎賀は下手してたら死んでたかもな。はぁ、めんどくさそうだな、、、、
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担任の近藤はそのまま次の人を指し、自己紹介は続いていった。全員の自己紹介が終わると、「自由にしてていいぞ」と後藤先生は言ったので、そのまま俺は先に固まっていた。
先ほどの出来事を思い出し、あの場面で後藤先生が庇ってくれていなかったらと思うと、、、自分の発言には気をつけようと思った。
そんなことを考えていると、後ろと先の男が声をかけてきた。
「時藤くんだよな、俺後ろの席の柴田レオ。よろしくな!」
この魔法も使えない俺に話したかけてくれなんて、、、なんでいい奴だこいつ。
「時藤悠馬だ、よろしく、柴田くん」
「柴田くんなんてやめてくれ、レオって呼んでくれよ」
「わかった、レオよろしくな。俺も悠太って呼んでくれ」
気さくな奴だなと思ったが、こんな俺に話しかけてくれるいい友達ができた。
その後レオと暫く話していると、教室の窓がぼーと外を眺めていた担任の後藤が「今日はもうなんもねーから解散」と言い。皆それぞれ帰宅していった。
「あ、時藤お前は後で職員室こいよー」
何故か俺だけ呼び出しを食らった。仕方なくレオと別れ俺は職員室まで向かった。
職員室に着くと自分の席でゲームをしてる後藤先生を見つけた。この人業務中じゃないのかよ、、、
「後藤先生来ましたよ」
「あー、時藤か、えっとだな、、、学校やっていけそうか?」
なんですかその質問は!って思ったが、一度気持ちを落ち着けて答える。
「そうですね、魔法も使えないですし、やって行ける自信ないですよ」
「そりぁ、そうだ。」
他人事の様に笑いながらそう言ってきた、後藤の顔面を殴りたくなった。すると、いきなり真面目な顔になり話し出した。
「こっちとしても、お前の状況は理解してる。だからこっちらとしても魔法を使う為道具を用意したんだが、まだ完成してなくてな。もうちょい待っててくれ。」
「本当ですか!魔法使える様になるんですね!」
学校側の思わぬ対応に、驚きよりも喜びが優った。
「まぁ、色々制限はあるけどな」
「制限ですか?」
「まぁ、そこはあまり気にするな」
意味深な言い方だったが、気にするなと言われたので俺は黙って頷いた。
「それと、お前がこの学校に入学するまでの出来事を聞いてもいいか?」
俺は銀仮面に会ったことなどを説明した。
「なるほどな、、、災難だったな」
後藤先生はまた笑いながらそう言ってきて、災難だったなじゃねーよ!っと文句を言いたくなったが、心の中だけにしておく。
「んじゃあ、今日は帰っていーぞ」
後藤先生はそう言ってきたので、俺は一礼し職員室を出た。
玄関に向かい靴を履き替えると、入口にレオが立ったいた。
「悠馬いま終わったのか?」
なんと待っててくれていたみたいだ。初めての友達のその行動に少しウルっときたが耐えて、レオの方に向かった。
「そういえばウチって全寮制なんだよな」
俺はふとそう呟いた
「そうそう、だから隣の部屋だったりしたらいいなって思って待ってたわけよ」
そんな話をしていると寮の前に着いた。受付のところがあったので、そこで受付する事にした。
「あのー1年F組の時藤悠馬です。」
すると奥から若い女人が出てきた。
「はいはい、時藤悠馬はこの部屋を使ってね。あとガキね」
俺は鍵を受け取り、レオの受付が終わるのを待った。
レオの受付が終わり2人で、奥にあるエレベーターに乗り込んだ。
「何階だった?俺4階」
俺がそう聞く。
「俺も4階だったぜ」
2人とも4階みたいなので、エレベーターで4階に上がり廊下を進んでいった。
「あ俺ここだ」
レオは自分の部屋を指差した。俺は隣の部屋を確認すると、そこは俺の部屋であった。
「俺ここだったよ」
お互い「また明日って」と言い遣って部屋に入っていく。
部屋の中は新築か!って思うぐらい綺麗で、足元はフローリングになっている。
ひとまず荷物を置き部屋を見て回ったが、どうやら1LDKの様だ。キッチンも備え付けられていて、冷在庫も完備してあり。寮とは思えない部屋で驚いていた。
事前に必要な荷物も送ってあるのでこの後は荷解きでもして過ごそうと思う。
ある程度荷解きが終わり、疲れたのでシャワーを浴びていると、玄関のチャイムが鳴った。
どうせレオだろと思い、タオルを巻いて玄関の扉を開けると、そこには金髪美少女が立っていた。
「はひ!!な、な、なんで格好で出てきてんのよ!」
彼女は右手を放つと俺の頬目がけて飛んできた。
痛い、、、
「こ、こ、これ隣にすわ出るから」
それだけ言うと袋だけ置いて金髪美少女は帰っていった。
まだ痛いよ、、、
おとなさんの挨拶だったのかな?これは開ける前に覗かなかった俺が悪いとしか言いようがない。
その後は、レオと学食に行き「お前それどうした?」と笑いながら聞かれたが無視して自分の部屋帰ってきた。