浸食する日常
昨日の記憶から一転
意識を失った私はずっと夢の中に捕らわれていた
昨日までの平穏な日々を思い浮かべながら
やがて私の意識が覚醒していく
「・・・・・はぁはぁ、なんだ夢か」
ベットから起き上がった私は、寝汗でべちゃりと濡れていた
あはは、熱くもないのに、おかしいんだ・・・
「そうですよねあんなことが現実であるはずがありません」
「そうだ!気分転換に外にいきましょう!」
昨日のアレは悪い夢だった
そう思うことにして外に出かけることにした
そうです、そんなことあるわけがありません
あんな・・・カインやディーや皆が怖い顔して戦って
血だらけで平気で人を殺せるわけがありません
アレは私の知ってる皆じゃない、きっと悪い夢なんだ
そう考えて、外に踏み出して
商店街で顔なじみの果物屋の店主と教会のシスターをやってるおばさんがいたので声をかけた
「皆さんおはようございます!シスター今日も私教会で子供達に歌を歌い・・・・・・・・・・・・・」
私は元気よく挨拶していつも通り子供達に歌を歌ってあげる
そんないつも通りの日になると・・・・
「え・・・」
思っていた、違った
それは異様な光景だった
顔なじみである果物屋の店主とシスターは私を見るとまるで
何かにとりつかれたかのように
数秒気が抜けた顔になり
驚いていた
「おお、フィーリア「様」だ」
「あら本当、小市民の私達は土下座して道を開けなきゃね」
今までフィーリアと呼んでくれたのに今日はフィーリア様と呼ばれた
地面に頭を擦り付けて座り込んだ
二人だけじゃない、道行く人々全てが私に道を譲ろうとしてきた
しかも、その表情はまったく嫌な顔せずむしろ幸せそうだった
そうそれはまるで、私が神様だと言わんがかりの光景だった
私はさらに困惑する事態が起きてることに気づいてきまった
何故なら・・・
「なんですか・・・これ、どうして皆武器なんか持ってるんですか?」
皆が皆剣や弓矢を町中で持ち出し武装しているからだ
今まで頭を垂れていた町の人々は顔を上げ
笑顔で私に語り掛ける
「それはもちろん、フィーリア様もとい天使様の為にこの身命をかけてでもリンドブルムと戦うつもりでございます」
「この国の住人はみな天使様が望めば喜んで命を差し出しましょうぞ」
「おお、そうとも・・・これは天使様の為の聖戦なのだ!」
命をかける・・・・?
差し出す・・・?
天使様・・・?
私はもう訳が分からなくなってきた
この異様な光景に気持ち悪さを感じ吐き気まで感じられる
私はホラー小説の世界に迷いこんでしまったのか?
「・・・・・・っ!」
気付いたら走りだしていた
何処へ行くへでもなく
ただ、来た道を引き返した
「なにがどうなって・・・・皆頭がおかしくなって・・・・!?」
「昨日のアレはやっぱり夢じゃなかった・・・・?」
引き返した先は、家だった
そう私が生まれ育った、両親と兄たちがいる大切な思い出がつまったお城
そうだ
お父様やカイン達ならいつも通りかもしれない
きっとそうに違いない
そう思っていた
だけど・・・・
「「フィーリア」」
声がした方を振り向くと
お父様とクロとリーリエとロイドさんがいた
だけど異様な雰囲気だった
皆手に注射器のような物を持ってこちらに近づいてくる
怖い顔をして、いつも違うぴりぴりとした空気が漂っていた
「城を抜け出したを思えばこっちに来るんだ」
「お父様・・・・クロ、ロイドさん、リーリエ・・・」
私はその場から走りさらに逃亡を重ねた
どこへいこう・・・・とりあえず裏山にいこう
そこでおかしくなった自分の頭を冷やすんだ
これは悪い夢か幻覚で
ちょっとたてばこんな悪い夢なんてすぐ覚める
きっと寝て起きたらまたベットで起き上がって
なーんだ夢かと言っていつものお日常へ戻れるはずなんだ
「まて、どこへいく!」
「すみません、今はちょっとフィー今頭がおかしいんです」
「近づいてはダメです!近づけば皆もおかしくなってしまいます」
私は裏山へ逃げていく
フィーリアのいなくなった後
「待つんだ!説明なら・・・」
ノブレス国王は頭を抱え完全にしくじった
そういったような焦燥した表情だった
「祠?」
フィーリアがたどり着いた先
そこは、何かを封印してるような祀ってあるような祠だった
「ここは・・・・・城の裏の山にこんなとこがあったなんて」
背後に足音がした
「カイン・・・ディー」
「フィーリアか」
「フィーリアちゃん」
その正体は大切な兄である、カインとディー
でも違った
「あなた達は・・・だれ?」
顔はほぼ一緒なのに
細部がいつも違う
蝙蝠のような黒い翼、赤い目、側頭部から生える角
その容姿は人ならざる物だった
「フィーリアちゃんまで戦いに参加させたくなけど」
「どうせもう隠しておけないんだ、なら・・・」
「俺達は魔族だ」
「この祠は、僕たちの力をフィーリアに見せないための儀式場」
カインとディーが魔族・・・・はははそんなウソです
悪い冗談か夢ですよね
いったいどういうことなのでしょう・・・・
いったい私の世界に何が起きてるのでしょう
そして、後から追ってきたノお父様たちが来ていた
「気づいてしまったか」
お父様は告げる
「二人は魔族とのハーフで」
「君はクロノ神聖国で作られ廃棄された人造天使だ」
「フィーリアには強大な魔力と周囲の人間や魔族を強制支配できる力がある」
私の秘密を語り始めた