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第一話 神に造られたもちもち姫

それは1000年と200年前の話、それは神話の世界の話

歴史にも乗らない話、人々の想像の誰も知らない世界の話

聖書には載ってる話

知識の果実を食べたアダムスとイヴィは感情を知り、恋を知り、愛を知った

他の神々からの怒りを受けた二人は、楽園を追放された

地上に追放された二人は、子供を沢山つくりました

神から創られたその二人が人類の最初の二人でした

聖書にはその後、神のお告げを授かれる聖女の話や教会の成り立ちが書かれ

そこで終わっている

しかし、この世界の聖書には最後に不自然な黒塗りのページがあった


これはほんの噂の話

その黒塗りのページには書いてあった言葉はこうだ


神は言いました

世界のバランスは崩れた

このままでは世界は人間と魔族による破滅を迎える

アダムスとイヴィは失敗だった

アンインストールしなければ

他の神がこの世界を捨てても私は見捨てない

神は気づきました

神を模して創ったから失敗した

神は天使を参考にしました

次は人間と魔族とも違うもっと無垢なる天使を造ろうとしました

そう

書かれていた


え?

私は誰かって?誰だろうね?

そんなのどうでもいいじゃないか

これから始まる物語には些細な問題だ

私は・・・捨てられた世界の残りカスの神さまさ


「ん・・・」

ぽかぽかした陽気の朝日に温められ

私は眠りから目覚めた

はじめまして、私はフィーリア背中に鳥のような小さな羽が生えてるだけの普通の女の子です

「お目覚めか、おもち姫ー」

私はほっぺたをつねれられていた

もちもちもちむにむにむに

「カイン、痛いよー」

「おせーんだよ、おでぶお姫様の寝顔が可愛かったからつい」

「いじめたくなるんだよなー」

「ふはああいははふんん~~!#><#」

カインは両手で私のほっぺをつねってもちーんと伸ばしてきた

喋れないよーばかー

手足をじたばたさせて抵抗するけどまったく敵わなかった


さらにそこへ、カインの弟のディーがやってきた

「あ、フィーリアちゃん・・・この前はぶっちゃってごめんね」

ディーは開口一番に私に謝る

そして、私に抱きつく

そして顔同士をくっ付けてきました

・・・昨日少し喧嘩しちゃったからだ


昨日ディーの部屋で

「ママがいないのになんでお前が!」

「・・・っ」

「ディー・・・フィーは悪い子ですか・・・ぐす」

なんてことがあったけど・・・


「いいですよーよしよし」

私はディーを許します

同い年だけど子供をあやす様に頭をなでなでする


着替えに苦戦してる時執事のクロさんが私を煽ってきました

「寝坊助」

「分かってるなら手伝ってください」

私は頬を膨らませ抗議する

クロは私のほっぺをぷにぷにする

「やばい癖になる」

「もー」

最終的にに手伝ってもらい着替えを済ませた


身支度を終えた後

お父様とお母様にも挨拶をしました

「お父様、お母様おはようございます」

「おはよう」

ノブレスお父様は国王で、シャッテお母様は王妃

「おはよう、今日も娘は可愛いな・・・お着換えは一人で出来たのか」

「フィーはもう子供じゃありません、むー」

実際は後ろのボタンが止められずクロに手伝ってもらうまで苦戦しましたけど


食事を終えた後

中で発生練習をする

そこへお医者様のロイドさんがやってきた

「声の調子はどうですか」

「今日も良く通ります」

「ほら喉が良くなる特別な飴」

「いつもありがとうございます」

ロイドさんは優しい

いつも美味しくて、歌が歌いやすくなる飴をくれるから


その後図書室で本を読んでいると

メイドのリーリエさんと会った

「お勉強ですかお嬢様」

「うん・・・外に滅多にいけないからこうして本を読んでいるくらいしかないしね」

「今度一緒に城下街にでも行きましょう、軽いお出かけなら問題ないはずですから」

「うん、ありがとう」

リーリエはあんまり外にいけない私を気遣って、街連れ出してくれたり

昔世界中を行った旅行先のこを話してくれる

「疲れたらいつでもお嬢様の椅子になりますからね」

「・・・それはいいかな」

ちょっと変なとこあるけど


これが私を取り巻く環境

そんな皆でいることが楽しくてほわほわとした気持ちになえる

そんな私と皆との出会いは15年前でした


15年前

メトロポリタン聖王国は危機に瀕してました

大陸の北側から魔族と呼ばれる凶悪な怪物に滅ぼされそうでした

魔族は通常の動物とは狂暴性も力もまるで違いました

そんな状況の中で

国王ノブレスの前妻アルテは国を破滅の危機から救うため

メトロポリタン聖王国の国宝・聖遺物セフィーロの分木から力を引き出す禁術を発動させました


聖遺物とは神様が私たちのような下界の人間と交配するための媒介で、神様の持ち物です

メトロポリタンは同盟国クロノ神聖国からセフィーロの本木から分木を貰っている


本来の想定では禁術で聖遺物から神の力を抽出しアルテさんに器として入れる予定だったんだけど

聖遺物は予想を裏切り、聖遺物はアルテさんの魔力を逆に吸い取り

魔力を吸いつくされたアルテさんは息を引きとった

後に判明した理由

それは禁術であるそれは邪まな心で力を求めれば別の作用を引き出すと文献で判明しました


そして、聖遺物はその別の作用として

神が創りし聖女として、私が産まれました

魔法陣に、現れた赤ちゃん

それが15年前の私

後で聞けば、それはもちもちしてて可愛いらしい赤ん坊だったらしい

そういった経緯で私は、ノブレスお父様に養子と引き取られこの家族の一員になりました

それから私とカイン達とは本当の兄妹のように過ごしてきました

子供の頃、お風呂もトイレも着替えも一人じゃ何も出来なかったから

赤ちゃんひな鳥みたいな扱いだった

最近はそうでもありませんが、ふんす


そして、今の私には毎日行ってる日課みたいなものがありあす

興味本位で子供達のために教会で歌を歌っていたんだけど

すごい上手いって癒されるって評判が出来て

その歌を聴いた人は怪我とか病気とか腰痛が治るらしいとか言われちゃって

私の歌にはどうやら魔法と同じような力があると迷信?が出来上がっちゃた

街の人からは聖歌の聖女なんて呼ばれるけど・・・こそばゆい

後は・・・んーこの生活不満があるとすれば、全然外に出してくれないの

出してくれても、城下町程度で

森の外へ出ていくは許されていない

一応、諸外国への外交や舞踏会の交流へ行く道中で馬車の窓から外の世界を眺めたことはあるけど・・・

あんな小さな窓じゃ満足出来ないよー

それに、日常に違和感も感じてる

何度も王宮に暗殺者が来て、私も襲われるとこまでは覚えてるんだけど・・・

その前後がすっぽり覚えてないのだった

皆は刺激が強すぎて見た瞬間気絶したんだろって言われてるけど・・・ほんとかな


そしてまたある日のことだった

15歳誕生日の前日


その日が私の運命を変えた日でした


突如として、リンドブルムという国がメトロポリタンと戦争状態になったのでした

彼等は滅茶苦茶でした

魔族と人間が一緒になって行動し戦争を起こしている

仲良くしていると言えば聞こえはいいけど、実態は

街は火の海になり、お金や物は略奪され、女や子供は拐われました

世間知らずの私にとってこの世の地獄だと思う光景でした


私は今、お父様に言われ

馬車で隣国オーブへいけと言われ馬車に乗り込んでいる

しかし、その道中は戦場のすぐ近くでした

地理上、他のルートで行くのは不可能だった

今度は魔族の襲撃を受けるからだった

魔族は森に潜み「個」が「欲望や本能に従い」偶発的に攻撃を仕掛ける

だから、まだ行動が読みやすい人間の方を選んだでしょう

それに護衛にクロとリーリエがいます

二人はクロノ神聖国では近衛騎士クラスの実力だとお父様だから安心だと言ってました


今、この馬車はそう遠くない場所、むしろ兄達が戦ってる戦場のすぐ傍を走ってる


カインとディー、それにノブレスお父様は最前線で連日のように戦場で戦いました

やがて、カインもディーも虐殺王子だとか悪逆皇帝だとか

周辺の国からはそう呼ばれて恐れられました

何で・・・?自分達の国を守ってるだけなのに

私にできることは何もなかった・・・


そう考えて馬車で揺られた時

爆裂魔法のような轟音がした後

急に馬車が動かくなった

窓からクロとリーリエの声が聞こえた

「お嬢様、決して馬車からでないように」

「すぐやっつけますからね、安心してください」

二人ににそう言われたものの

私は気になって、窓を開け騎手がいる方を覗いてみる

馬に乗っていた兵士がズルっと切断され落馬していくのが見えた

「きゃあ!・・・ああ・・・・あああ」

悲鳴すら喉につっかえて出てこない

ここからでないとまずい、そう思った瞬間には遅かった

馬車に爆発魔法が当たったのだろうか

馬車の籠が二回ほど回転し真横に傾いて地面にぶつかった

馬車の中で数回バウンドして体をあちこちぶつけてしまう

お気に入りのワンピースはところどころ千切れてボロボロでした

馬車から何とか這い出た私だったけど

そこで見た光景は・・・信じがたいものでした


クロとリーリエは倒れていた

リーリエは頭から血を流していてうつ伏せの状態で、クロは腹を押さえて木にもたれかかっている

戦いのことは分からないけど・・・ここまで傷つくなんてあり得ない

「強すぎる・・・」

「・・・逃げて」

二人の傍には、化け物がいた

羊のような頭の巨体の悪魔だった

テュポーン

あの化け物の名前が何故か勝手に浮かび上がってきた、始めから知ってたのように

羊の悪魔の化け物テュポーンは私を見ると笑ったような顔して、去っていた


そして、私の視線はその先の戦場へと引き寄せられた


カインもディーも・・・私が見たことをない顔をしていた

人を敵の兵士を恍惚の表情で笑いながら殺し引きちぎっていく

この国最強のカインの闇色の魔法攻撃で沢山の人達がバラバラに散らばっていく

こんなの・・・こんなの・・・違う!

私は思わずカイン達の元へ走り出していた


「な・・・フィーリアなんでここに!馬鹿が!」

「フィーリアちゃん・・・そこ動かないですぐ行く!」

カインとディーが気づく、血だらけの鎧と格好で私に駆け寄ってきてくれる

私は、一瞬でも兄たちの顔が元に戻ったことに安堵していた

だけど・・・


私の足元にはかつて人だったものが辺り一面に広がっていた

悪臭と凄惨な光景で吐き気が襲う

私の存在に気づいた敵の兵士が切りかかってきた

私は、動くことができない

二人は別の兵士に阻まれ、こちらにこれない

ここで私は死ぬ、いやだ怖い・・・死にたくない

そう思った瞬間、私の意識は遠くなっていた

自分じゃない無機質な冷たい「戦闘プログラム」へと変わっていく


戦闘プログラムへと切り替わったフィーリアは

切りつけてきた兵士の剣を手で掴み、砕いた

敵の兵士の首を掴みへ左手で兵士の胸に貫手

「対象を敵と認定・・・消去」

「ば、化け物ぉ!・・・やめっ・・・ぎゃああああ!」

肉がぐちゃっと潰れる音がすると共に、フィーリアの手が兵士の胸にめり込む

そして、フィーリアの手は何かを掴み胸から引き抜かれた

ぶちぶちぶちと血管が引きちぎられ音が響く

兵士は息絶えていた、掴んでいた手を離し無造作に放り投げる

フィーリアの手には心臓が握られていた

ドクンドクンとする心臓の鼓動、まだ動いていた

そして・・・


ノブレスが気づいた時には遅かった

「神造兵器として目覚めてしまったか・・・もう封印術が効かん」


「・・・私・・・・え」

フィーリアの意識が戻る、戻ってしまった


「ああ、フィーリアはいつも綺麗だな」

カインはフィーリアの頬に肌にふれる

いつものようにぷにぷにもちもちとさせながら


「・・・・・・・ぁあああ」

フィーは既に籠の鳥だったのかもしれません


「あれが神造兵器達か・・・とんでもねぇな」

「クロノ神聖国の闇の部分ってわけね・・・」

戦場の端からその様子を見る男女、リンドブルム国の国王

元黒狼傭兵団ダーク・ヴォルグヘルと

ユニ王国の元聖女、氷の悪女レティシア・スノー

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