64ページ目、席次の子
マシュー君が負けてヘンリー君まで試合が伸びましたが、とくに盛り上がることもなく勝てたので二戦目の話は飛ばしましょう。
元々のクラス数が少ないので二回も勝てばすぐに三戦目が回ってきました。
学年別なので、一年生の決勝戦になります。
A組が相手なのですが、これといって因縁のある人は居ないので盛り上がりにかけますね。まぁ、学校行事でそんなドラマチックな展開、見たことないんですけどね。
A組にはすごく強い子がいるらしく、ヘンリー君が不安げな顔をしてました。A組を見やると黒髪赤目、(子供なので分かりにくいですが)若干童顔の少年がいます。キョウ人のような特徴ですから、その顔は記憶に残っていました。入学式でナンナちゃんとアメリアちゃんに挟まれていた、席次の子です!
留学生の類でしょうか、それとも日系外国人ならぬキョウ系ソルラヴィエ人(?)でしょうか。
一戦目。マシュー君は苦戦を強いられましたが、武器をただ振り回すのではなくフェイントを織り交ぜるという事を実践していました。
力ではやはりマシュー君は頭一つ抜けており、しばらく打ち合っていると相手の剣が弾かれてしまい、そこで降参。マシュー君の勝利に終わりました。
二戦目、私が場内に入ると、あの黒髪の子がやって来ました。強いのであればここで私を倒せそうな最高戦力を持ってくると言うのは当然でしょう。腰に刀を下げているのを確認し、やはりキョウの人なのかなと考えていると、話しかけられました。
「エリザ……様。あなたの様子を見ていました。あなたはとても強い。しかし、あなたはこの国の侯爵令嬢だと聞いていたのですが、何故刀を使っているのですか」
少し硬い発音なのは、国が違うからなのか緊張からなのか分かりませんでしたが、どこか好戦的な鋭い視線で私の返事を待っています。
「えぇ、友人から教えてもらったのが刀だったので。それ以上でもそれ以下でもありません」
そう言うと、ならば本物の抜刀術でも見せてやる、と言わんばかりの剣幕で鞘に手を置きました。
今回はとても短くて申し訳ない




