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7ページ目、魔法の先生カンナさん

タイトルを、変更いたしました。はい。

それから数ヶ月が経ちました。剣と魔法の先生がそれぞれ見つかり、ここに来るまで1、2週間かかるそうです。


ちなみに、この世界の1週間は日、火、風、水、土、闇の曜日の6日のローテーションで、5週間で1ヶ月、12ヶ月で1年となります。6年に1度、13月がある、いわば閏年のようなものがあります。


さて、相変わらずお父様は優しく、屋敷にいる使用人達も「やっと元の旦那様に戻ってくれた」と喜んでいました。


屋敷の雰囲気も、エリザの記憶よりも随分と明るくなっています。


魔法の基礎くらいはお父様も出来るのではと教えを乞いましたが、お父様は魔法はからっきしだと断られました。


その変わり、剣の振り方や体の基礎の鍛え方を教えくれました。


ですがお父様は「剣の先生が来たらその人に教えて貰いなさい」と言いました。


「どうして?」


尋ねるとお父様は呟きました。


「俺の剣は魔物を討ち滅ぼす剣だ。決して自衛や対人に向かない。力いっぱい振り下ろすこの剣は、力加減が出来ん。下手をすると、相手の命を奪う」


その瞳は何処までも真っ直ぐで、これ以上何かを言うのは憚かられました。




本日、魔法の先生が来るようです。剣の先生は途中で足止めを食らって2週間後に着くそうです。


客人が来るということもあり、1番お気に入りの深い青のドレスを着ました。


姿見を引っ張り出してきて、その前でくるりと一回転するとスカートが円を描いて膨らみを持ち、ふんわりと沈みました。

1度やってみたかったことです。

しばらくして恥ずかしさがどこからともかく湧き上がり、姿見を元の場所に戻しました。


エリザは、夜空のような紺色の髪、太陽の輝きのような黄金色の瞳。左の目元に泣きぼくろがあり、その頬は薄桃色に染まりふっくらと膨らんでいます。とても愛嬌のある顔です。


幼いながらも整った顔立ちは、多少の恥もかき消せる。そう心に言い聞かせ部屋を出ました。





魔法の先生は、ロードラン領を包括するソルラヴィェ王国の遥か東、キョウという国を中心に活動する女性の凄腕冒険者なのですが、左腕を失ったので引退をしたそうです。


キョウという国は、お父様から独自の文化が発達しており、他国からも評価されているのだととか聞いていませんでした。


それに、キョウ人は黒髪赤目が特徴だとも聞いていました。


だから、目の前に現れた女性に驚きました。


地味ながら力強い、萌す草々の描かれた緑色の着物を着ていたのです。黒髪で、童顔であり、更には糸目であったので全く日本人にしか見えなかったのです。


左の袖は中身が通すべき腕がなく、ひらひらと揺れていました。


「やぁ、君がエリザ様かい?魔法を教えさせてもらう、カンナという。よろしくね」





お父様との顔合わせも済み、早速教えてもらう事になりました。


「あの、左腕、その…」


「ん?ああ、気にしてない気にしてない。それに、私は魔法の講師として呼ばれたからね。問題は無いよ」


そう笑う彼女はとても明るいのですが、どこか影のあるように感じました。


カンナさんは美しながらどこか幼さも残す、といったような愛嬌のある顔をしています。


着いてから今までずっとニコニコと微笑んでいて、目をつぶっているのでは?と疑いたくなるくらい糸目です。


朗らかそうな表情とは裏腹に、その虚しい左袖がやけに生々しく感じました。


その感情を紛らわせようと、別な話を振りました。


「その和服、綺麗ですね。初めて見ましたが、とても似合っています」


そう言うと、笑みが一瞬崩れ、少し眉がピクリと動いたような気がしまたが、直ぐにまたいつもの顔に戻りました。


「ありがとう。エリザ様も紺色の髪だし、良く似合うと思うよ。さて、早速だがまず魔法についてどのくらい……あーいや、1から教えようか」



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